days of cinema, music and food

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Black Panther

”Black Panther”
ブラックパンサー』をIMAX 3Dで鑑賞しました。
最近観た中では、最後まで3D映像の奥行き感が最も持続する映画でした。


アフリカのど真ん中にある小国ワカンダ。
世界とは国交もなく、農業国で経済も乏しいと思われていた国だが、地球上ではここでしか採掘されない金属ヴィブラニウムのお陰で、実は世界で最も科学が発達した豊かな国だった。
父王の急な死去により王位を継承した王子ティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)は、ヴィブラニウム製スーツと肉体増強効果があるハーブにより、国の守護者ブラックパンサーとなる。
そして長年ヴィブラニウムを狙っていた武器商人ユリシーズ・クロウ(アンディ・サーキス)の暗躍を発端に、国を揺るがす一大事が起こる。


アメリカでは文化史上の大事件とまでされている黒人アメコミヒーロー映画が、余り間を空かないで観られるのはありがたいことです。
そしてこれが予想と全く違う映画になっていたのは更に喜ばしいものです。
単純明快な娯楽ヒーローアクション映画でありながら、複雑で余韻も残す仕上がりになっていました。


前半はヒーロー映画のフォーマットに沿っています。
007ばりの新兵器や、ブラックパンサーが大活躍のアクションが豪快で、見ていてとても楽しい。
初の娯楽アクションを手掛けるライアン・クーグラーの演出も見応えがあります。
だが悪役のエリック・キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)という若者が暗躍するようになると、映画のトーンが変わるだけではなく、物語に大きな命題を与えられてきます。
とにかく内容盛りだくさんの映画で、クーグラーとジョー・ロバート・コールによる脚本は、よくもここまでぎゅうぎゅうと詰め込んだものだと感心させられました。
そしてこれは何よりも、観終えた後にハッピーな気分になれる映画です。
ヒーローとは悪と戦うだけではない。
持てる力で世界に対してどのような影響力を与えられるのか。
そう答えを出している映画になっているのです。
そして他者への良き影響は映画の中のヒーローだけではなく、私たちのような一般人でもスケールは小さくとも出来るのではないか、と思わせます。
小さな勇気を与えてくれる。
だから鑑賞後にハッピーになれるのです。


登場人物の殆どが黒人ばかりなのが珍しいハリウッド大作アクションだし、同時に人物の多くが聡明で意志の強い女性なのも珍しい。
個性的な彼女たちの活躍が映画の見所の1つにもなっています。
特に王の親衛隊隊長オコエダナイ・グリラ)は、戦闘能力が高い無双振りだけではなく、映画の最初から最後まで一貫してブレない、凛々しい人物として印象に残りました。


またワカンダの超文明国家振りのデザインも素晴らしい。
建物やメカ類、衣装の数々まで、色彩含めて目を楽しませてくれます。
これらは革新的でさえあります。
ルートヴィッヒ・ヨーランソンによる音楽も、アフリカ色が豊か、かつダイナミックでとても良かったです。