days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Shoot 'Em Up


1週間前の映画の日に観に行ったのが『シューテム・アップ』。
「奴らを撃ってしまえ!」てな意味か。
レイトショーのシネコンは数人の入りでした。


内容は本当にしょーもないガンアクションもの。
とある妊婦がギャング団に追われているのを観た主人公スミス(クライヴ・オーウェン)が、見捨てておけんとギャング団相手に大立ち回り。
しかし妊婦は流れ弾に当たって死亡、それでも何故か赤子が狙われるので、曰くある母乳プレイ専門娼婦(!モニカ・ベルッチ)に赤子を任せ、ギャング団首領(ポール・ジアマッティ)らと戦いを繰り広げる、といったもの。


物語は全くの荒唐無稽どころか馬鹿馬鹿しく、しかもアクション場面すら現実にありそうも無い描写が延々続きます。
しかもエログロはっきり。
マジメに映画を観る人だったら、怒る可能性大です。


しかしこの映画、最初から馬鹿馬鹿しいお笑いアクションとして観ればかなり面白可笑しい。
アクションも突っ込みどころ満載ですが、エンドクレジット含めて1時間半切っている潔さ。
いちいち笑える決め台詞を吐くオーウェンの可笑しさ。
オーウェンとベルッチが立ちセックスしながら、乱入して来た殺し屋相手にバンバン撃って退治した後の台詞など、アホらしくてしょうもありません。
大体にして、この映画のタイトルからして内容をよく表しています。


主役3人はご贔屓の男女優なのが楽しい。
オーウェンぶっきら棒な風来坊パロディ、ベルッチは安っぽい役柄を意図してるし、ジアマッティも如何にも悪そう。
タイプ演技をここまで堂々と披露して、それがこの手のジャンル映画のパロディとなっているのです。


クローネンバーグの傑作『ヒストリー・オブ・バイオレンス』序盤に登場した悪党2人組俳優が、揃って本作にも登場。
衣装とキャスティング担当もクローネンバーグ組(前者はクローネンガーグの実姉です)。
エンドタイトルを観ていたら、カナダで撮影された様子。
物価面を考えてなのでしょうか。


ひたすらアホらしい、007の安っぽいパロディをわざと狙っている怪作。
作り手の「やりたいことをやって、もう出し切ったゼ」という声が聞こえて来るかのよう。
ご興味ありましたら是非どうぞ。