days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Fright Night


この日曜は、妻子は『映画スイートプリキュアとりもどせ! 心がつなぐ奇跡のメロディ』を鑑賞しました。
映画館、特にワーナーマイカルシネマズのロビーや廊下の暗さにビビるようになった娘は、映画を観たくても怖がって観に行けなくなりました。
今回、娘の大好きなプリキュアならば克服出来るのではないかと、日頃から映画館で観に行きたくなるように少しずつ仕向けてみて、無事に観に行けた次第です。
まぁ、予告編が『ゴーカイジャー』以外は結構幼児には怖いものが多かったらしく、帰る帰らないの押し問答もあったようですが(^^;
ともあれ、後半は場内で声援を送るようになって、ノリノリだったそうですから良かった。
ちょっと私も一緒だったら良かったかも、とちょい後悔しましたが。
映画は習慣性の趣味ですから、娘も両親のように映画好きに育つかな…


さて、普段から妻子で録画番組でプリキュアを楽しんでいるのですが、全く観ていない私は門外漢。
それでその間、私一人で映画を観ていました。
フライトナイト/恐怖の夜』3D版です。
公開2日目の日曜11時半からの回、客は私を入れて10人弱とは残念…(-_-;
2D版の入りも似たようなものか、あるいはもっと入っていなさそうです。


ラスヴェガス郊外の住宅地に住む高校生のチャーリー(アントン・イェルチン)は、母ジェーン(トニ・コレット)と2人暮らし。
ガールフレンドのエイミー(イモージェン・プーツ)も居て、楽しい日々を送っています。
新たな隣人ジェリー(コリン・ファレル)はナイスガイで、ジェーンはちょっと気になっている様子。
ある日、最近疎遠気味だった幼馴染のエドクリストファー・ミンツ=プラッセ)が、ジェリーは吸血鬼だ、彼が越してから次々と同級生が一家ごと失踪していると言いますが、チャーリーは取り合いません。
が、エドも姿を消してしまいます。
ジェリーの挙動の不審なものを感じ始めたチャーリーは…


新たな隣人が吸血鬼だったと知ったティーンエイジャーを主人公にしたホラー映画。
そう、題名からお判りの通り、1985年のトム・ホランド脚本&監督のホラー・コメディ『フライトナイト』のリメイクなのです。
本昨にホランドは製作総指揮として参加しています。
チャイルド・プレイ』も大ヒットし、シリーズが数本作られたくらいでしたが、どちらかと言うと『フライトナイト』の方が好きですね。
どちらもタイトでテンポが良く、適度にユーモアを散らしながら盛り上げる手腕が中々だったと思います。
そのホランド自身が参加しているとあって少々期待していたのですが、残念ながら1985年版にあった青春映画としての可笑しさはまるで無く、只々派手な3Dホラーであろうとした作品…の割りに怖くなかったのでした。
派手にスケールアップしているのは分かります。
特に後半はまるまる吸血鬼との戦いに費やされるのに、どうにも画面に引き込まれなかったのでした。
主人公にまるで感情移入出来なかったのは、序盤での人物描写がいささか乱暴に感じられたからでしょう。
クレイグ・ギレスピーはドラマ作品で注目された作品なのに、ホラーは勝手が違ったのでしょうか。
反面、吸血鬼役コリン・ファレルは無邪気な笑顔が収穫。
オリジナル版のクリス・サランドンの色気は無いけれど、これは是非はともかく、セクシュアルな要素を殆ど削除した本作には合っているとは思いました。


オリジナル版は孤独とか不安とか笑いとか、人間味があるというか、ある種生々しさがありました。
一方、こちらは徹頭徹尾分かり易く派手でドライ。
割り切ったホラーという作りで、確かに要所で先端恐怖症的3D効果も含めて、成る程分かり易いのです。
1980年代の映画の作りと2010年の映画の作りの違いなのでしょうか。
1970年代の映画だけど、『悪魔のいけにえ』も21世紀に『テキサス・チェーンソー』としてリメイクされると、黒い笑いも無く、ひたすら残酷ホラー路線になってしまっていたし。
本作の場合、原典のユーモアまで真似する必要は無いかも知れません。
それでも笑いは恐怖が際立つコントラストとして、あった方が良いのですが。
奥行き重視の3D映画が多い中、先端恐怖症的なショットも散りばめられていて、見世物としてはそう悪くはないのですが。


このリメイク版、オリジナル版ではロディ・マクドウォールが快演していたヴァンパイア・ハンターの設定も含めて、大幅に改編されています。
しかしそれらの改変が映画としての面白さには昇華し切れていません。
トム・ホランド本人はこんな作りで納得しているのだろうか、甚だ疑問です。
クリス・サランドンがちょい役で登場して楽しませますが、それだけ。
設定だけ借りたまるで別物の映画でした。
もっとも、オリジナル版も劇場で観て20数年も経っているし、その後TVで1度観たきりだからで美化されてる可能性はあるとは思いますが。


ガールフレンド役イモージェン・プーツは、メイクもあって『ツイン・ピークス』のメッチェン・アミックとか、『橋の上の貴婦人』のサスキア・リーヴスとか思い出させました。
プーツ嬢は英国人で、どこかで観た顔だと思ったら『28週後...』の少女が成長したのでした。
アントン・イェルチンはロシア出身、ファレルはアイルランドトニ・コレットはオーストラリア…と、主要キャストの殆どが外国人の、でもアメリカのティーンを主人公にした映画でもあるのは興味深いものです。


映倫ではG…つまり誰でも観られるこの映画、人体破壊描写もそこそこあって、毎度の事ながら基準がさっぱり分かりません。
一体どういう仕組みで審査しているのやら。
その人体破壊や流血を担当したKNBエフェクト・グループは、相変わらず良い仕事をしていたと思います。
デザイナーの名前は見逃したのですが、タイトル・デザインも中々良かった。


個人的には『フライトナイト』と言えば、この曲なのです。
J・ガイルズ・バンドの如何にも80年代調の曲とヴィデオクリップをどうぞ♪

  • J. Geils Band - Fright Night