days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Side Effects


サイド・エフェクト』をミッドナイトショウ鑑賞しました。
公開初日の金曜0時20分からの回は、私も含めて14人の入りです。


インサイダー取引実刑を受けていた夫マーティン(チャニング・テイタム)が戻って来てから、妻エミリー(ルーニー・マーラ)は鬱病を再発してしまう。
医師バンクス(ジュード・ロウ)は抗うつ薬を処方して治療に当たるが、エミリーは取り返しのつかない事件を起こしてしまった。
エミリーが使っていた薬と、それを処方していたバンクスへの風当りが高まる中、バンクスは事件の真相を探ろうとし、やがて予想だにしなかった真相に突き当たる。


スティーヴン・ソダーバーグ最後の劇場監督作品との触れ込みの本作は、ソダーバーグが監督・撮影・編集といういつもの1人3役を兼任。
脚本はソダーバーグの前作『コンテイジョン』と組んだスコット・Z・バーンズ
あちらはパンデミックを徹底したリアリズムで描いたスリラーの佳作でした。
そしてヒロインに傑作『ドラゴン・タトゥーの女』での無表情なリスベット役が素晴らしかったルーニー・マーラ
と、この布陣自体がミスリードを誘っているのではないか、と思わせる凝った内容のスリラーだったのです。
スリードと言えば屈強なチャニング・テイタムの起用もそうでしょう。
主人公のジュード・ロウはこれまた『コンテイジョン』の困ったジャーナリスト/ブロガー役から一転しての真摯な医師役で、これもミスリード目当て?
ロウはヒッチコック映画ばりに追い詰められる主人公を演じていて、良かったです。


まぁしかしルーニー・マーラですよ、この映画は。
こんなにも引き出しが多い女優とは思いもしませんでした。
確かにリスベット役は素晴らしかったのですが、こんなにカラフルな演技を見せてくれる女優だったとは。
彼女の演技自体が大きな見どころになっています。


ソダーバーグの一切の無駄が無い、キビキビとした演出・撮影・編集は、もはや名人芸です。
以前から思っていましたが、この人は娯楽路線の映画の方が柄に合っているのではないでしょうか。
私としては『トラフィック』や『チェ』2部作等よりも、娯楽映画として成立している本作や『アウト・オブ・サイト』といった映画の方が好きです。
『KAFKA/迷宮の悪夢』等と言う、映像に力が入った初期作品がもやは懐かしいくらい。
本作は批判やメッセージを込めつつも、冷静なHD撮影でこれ見よがしの画等なく、観客に驚きを与えるスリラー/ミステリに徹しているのですから。


音楽はソダーバーグ映画で珍しやトーマス・ニューマン
いつものクリフ・マルティネスはどうしたんだろ…と思って見始めたら、題材にもドンピシャの曲を付けてさすが。
相変わらず地味だけど上手い。


色々書いていて矛盾するようですが、内容に関しては余り情報を仕入れないでご覧になるのをお勧めします。