days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

forest of knowledge


今日・明日は、六本木にて社外講習受講です。
六本木と言えば、私にとっては六本木ヒルズ・・・ではなく、青山ブックセンターです。


夕方遅くの受講終了後、ビルの外に出ると、グループで一緒だった人がいました。
こちらを待っていたのか、それとも偶然なのかは分かりませんが、「この近くの本屋を教えて下さい」。
聞けば、普段はシステム開発で毎晩遅くまで残業、昨夜は遅くに京都からやって来て、本屋にも行けないとのことです。
それではと、六本木駅近くの書店を2軒、てくてく歩いて案内することになりました。


書店案内後に「また明日」と笑顔で別れてからは、独りの時間の到来。
青山ブックセンターという知の宝庫で、書と戯れます。
親会社の経営難で一時期閉店して、随分とがっかりさせられましたが、再開後も変わらず私のお気に入りの場所です。


ここは芸術関係の書籍も充実しています。
和・洋問わず、写真集、映画関連本、音楽関係、画集など、眺めているだけでも楽しい本がたくさんあります。


町山智浩の新刊映画解説本『ブレードランナーの未来世紀』で、デビッド・クローネンバーグの怪作『ビデオドローム』の詳細な解説に感嘆し、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』原作グラフィック・ノヴェル(劇画ですな)をぱらぱらめくって、偶然ながらクローネンバーグづいているな、と思ったり。


書棚に目を移すと、ヒエロニムス・ボッシュの画集が置いてあるのを見つけ、さっきの町山本の『ロボコップ』解説パートで監督ポール・バーホーベンが惹かれていた画家として出ていたっけ、と思い出します。


音楽関係で目当ての本を探すも見付からず、ちょっと残念と思うも、次は有名無名の写真家の作品を手に取ります。
ヘルムート・ニュートンの写真集は今日はパス。硬質なタッチで結構好きですが、気分でなかったようです。


文庫本コーナーでは、名作短編『雷のような音』を映画した『サウンド・オブ・サンダー』公開に合わせ、ハヤカワ文庫から出ているレイ・ブラッドベリの名作の数々が新装されているのを発見します。『刺青の男』『太陽の黄金の林檎』『火星年代記』『黒いカーニバル』・・・どれも小学生時に夢中になったものばかりです。


ふと見ると、アラーキーこと荒木経惟の評伝らしき文庫本『荒木!』も出ています。
手に取って軽く目を通そうとすると、傑作『センチメンタルな旅』についての部分で思わず熟読してしまいます。
『冬の旅』のところでは、愛妻だったヨーコの死と向き合う姿に感動を覚えます。


私にとって、書店は宝物館のようなもの。
誰かが開けてくれるのを待っている本がずらり並んでいるのですから。


子供の頃から、ずっと書店主に憧れていました。
1日中いるのはどんな気分だろう、と。


お気に入りだったのは、三軒茶屋の茶沢通りにあった太子堂書店。
私が通っていた世田谷幼稚園(公式サイトがあったとは!)の近くにあったので、その頃からお気に入りの場所でした。
もう随分と前に無くなってしまった個人経営の書店でしたが、木の床と書棚に味がありました。


学生時代は、自分が書店オーナーだったら、やはり木の床と木の書棚で、雑誌類は置かない、画集や写真集、小説などを置く店にしたい、と夢想していたものです。
そうだ、喫茶コーナーもあって、買った本をお客さんがその場で読めるようにしよう。
買った本はすぐに読みたくなるから。


映画に出てくる書店では、『恋人たちの予感』の店が良かった。
海外旅行に行くと必ず書店に入りますが、向こうは日本のと違って、音楽なぞ流さないので静かで素敵です。


気が付くと、1時間半以上も経っていました。
入ったときは人もまばらだった店内も、いつの間にか会社帰りの人々がたくさん居ます。
書店にいると、ついつい時間を忘れてしまいます。
また明日も寄りましょうか。