days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

comic "The Crow"


先日読んだバットマンに感化され、立て続けにアメコミを読む気分になりました。
どうせ読むならば久々に読むものが良い。
そこで本棚から引っ張り出したのは、十数年振りに読む本。
ジェームズ・オバー作・画の『クロウ/飛翔伝説』です。
映画版公開時の1994年に、キネマ旬報社から出版されたもの。
A4版なので結構な迫力。
既に絶版のようです。
アレックス・プロヤス監督の出世作でもある同作は、ブランドン・リーの悲劇的遺作として有名ですね。


残念ながら映画版は未見なのですが、公開当時はそれ程批評家たちからは好評でもって迎えられたのではない、と記憶しています。
しかしながら前述のリーの死もあってカルトムーヴィーと化し、続篇が何本か製作されています。


映画版の主人公はロックシンガーという設定があるようですが、原作コミックではそんな設定はありません。
主人公の過去が時折フラッシュバックされますが、その殆どが恋人との甘美な時間が描かれているもの。
彼の職業や私生活は殆ど分からないものとなっています。
それでは映画にならないということで設定が追加されているのでしょう。


内容は、恋人と共に殺害された主人公がカラスの力によって不死者となって蘇り、悪党どもに復讐を遂げていくというヴァイオレンスもの。
日本のコミック並にヴァイオレントな内容で、今読むと少々びっくりさせられます。
つまり本国アメリカでは、非主流のコミックなのです。
殆どがモノクロで描かれた画(過去の恋人との場面の一部は、見た感じ原本ではカラーだったようです)は、デッサンも崩れ気味だし、お世辞にも上手くはない。
むしろ下手な部類です。
決して傑作ではないし、読みやすい作品でもありません。
しかし父子の主人公が悪党を殺害していく様と、主人公と恋人とのラヴシーンの数々のみを交錯していく構成が、異様な迫力を醸し出しています。
そして終盤に登場する、残酷にも恋人たちが殺されていく様。
これが悲劇として強烈な印象を残します。


プロデューサーたちが映画化を決断したのは、こういった理由によるものではないでしょうか。


クロウ飛翔伝説

クロウ飛翔伝説