days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

父の書棚の魑魅魍魎


食事後は実家に寄りました。
久々に父の狭い書斎を覗いてみると、物が色々と増えていて文字通り足の踏み場が無くなっています。
私の目当てはその書棚。
先日観たザ・フライ』で思い出したものがあったのです。


取り敢えず書棚を見てみましょう。

分銅に囲まれるように、『プラトーン』のウィレム・デフォーが最期のポーズを取っています。
台座下から両手先端まではおよそ15cm程の高さです。
その右手奥には『クリープショー』第1話、父ゾンビが墓から出て来ようとしています。
オレンジ色の照明も塗装で再現されていて見事ですね。
真ん中手前は私が組み立て・塗装をした『エイリアン』プラモデル。
やや明るめではありますが、今見ても中々本物に似ている色だと思います(劇中では暗くて分かりませんが)。
ラストはナルキッソス号に隠れるよう銀色に塗装されていましたが、実際には爬虫類色をしていたのです。
右手手前は紙工作の機関車。
これも私が組み立て・塗装したものです。
その奥にはヴェロキラプトル
ポーズも中々良い感じです。
一番奥は『死霊のえじき』に登場する下アゴ無しベロ出しゾンビを再現したもの。
これも私がフォームラテックスで作ったもの。
クリープショー』とこれとで、トム・サヴィーニのゾンビ2種になります。


ウィレム・デフォー、父ゾンビ、ヴェロキラプトルは、1歳下の弟が針金の芯に紙粘土を盛って作ったものなのです。
当時弟は中学生。
デフォー、父ゾンビは弟が造形を始めた初期の作品で、荒削りですがその才能の萌芽は明らかです。
彼の作り出す造形物に夢中になった私は、兄の権限で次々と映画のキャラクターを製作するよう、依頼したのです。


ということで、棚の右側を見てみましょう。

1番左は宇宙飛行士で、これはティッシュペーパーの宇宙服服、シリコンで覆われたヘルメット、中にはラテックス製の顔があります。
これも弟が製作したもので、紙粘土造形時代より前の作品だったと思います。
その右手前の寝転んでいるユーモラスなクリーチャーは、オリジナル作品。
気軽に作っていたと記憶しています。
H.R.ギーガーのエイリアンに多大な影響を受けたモンスター、シンジェノアは、ソフトビニル製で私が塗装したもの。
映画『バイオ・スケアード/悪魔の遺伝子』は未見ですが、評判も悪いので恐らくお目にかかることは無いでしょう。
でもこのモンスターは気に入っています。
シンジェノアの手前は、ご存知ターミネーター
映画『ターミネーター』の警察署襲撃場面の再現です。
これは弟の作品でも最初期に作られたものでした。
身体のバランスがやや悪いですが、サングラスの奥は片目がロボットだったりで、細かいところまで神経が行き届いています。
手に持っているショットガン、アサルトライフルも紙粘土製です。


そして今回、私が再会したかったのが『ザ・フライ』のブランドル・フライ。

映画を大層気に入った私が弟にお願いしたものだったと記憶していますが、ひょっとしたら彼が自発的に作ったものかも知れません。
弟中学3年生のときの作品ですね。
頭部先端から後足までは40cmはあるのではないでしょうか。
塗装による質感、弟が自分の髪の毛を使った体毛など工夫も見られますが、何よりも悲しみを湛えたポーズと表情が素晴らしい。
間違いなく彼の傑作の1つです。


その足元に転がっている男の人形にも目をやりましょう。

これもハエ男なのです。
デヴィッド・クローネンバーグが『ハエ男の恐怖』をリメイクするらしい、かなりグロらしいという情報しかなかったのですが、雑誌『宇宙船』にその想定(?)イラストだかが載っていたのですね。
それにインスパイアされて弟が製作したものがこれです。
私の依頼だったかと思いますが、元の絵だか写真だかよりもグロテスクで気色悪く、小さいながらも傑作に恥じない出来栄えになっていると思います。


他にも『エイリアン2』のクイーンなども全長50cmくらいで作っていたのですが、それはもう残っていないのかな。
だとしたら残念です。
あれこそが弟の最高傑作だと思うのですが。


短い時間でしたが、ちょっとしたフィギュア展を楽しめました。
今更ながら弟の手先の器用さと、自分の見たものを造形や塗装で立体物として再現する才能に感嘆しつつ、こういった作品を残してくれている父にも感謝です。
弟は今、看護士として介護の現場で働いており、今ではすっかり造形はしなくなったようです。
しかしたまに絵を描いたりしている様子。
1年に1回くらいは会うので、新作があったらそのときにでも見せてもらいましょう。