days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

The Wind and the Lion


「エレファント・ドラムってご存知ですか?」
先日ご紹介したCDを買う際、仙道さおり嬢に思わず質問してしまいました。
エレファント・ドラム。
私にとって長年の疑問です。
どんな形をしているのか。
義兄夫婦は小学校の音楽の先生をしているのですが、彼らも知りませんでした。
仙道嬢もご存じなかったようですが、このアルバムではその音色を聴くことが出来ます。


さて予告通りにパーカッションが面白いCDをご紹介します。
まずは私にとってパーカッションと言えばこの人、映画音楽の巨匠故ジェリー・ゴールドスミスの代表作の1つ、『風とライオン』のサントラCDです。

  • Total Time: 38:44
  1. Main Title (1:26)
  2. I Remember (Love theme from "The Wind and the Lion") (2:38)
  3. The Horsemen (3:07)
  4. True Feelings (2:29)
  5. The Raisuli (2:08)
  6. The True Symbol (2:30)
  7. Raisuli Attacks (3:12)
  8. Lord of the Riff (2:39)
  9. The Tent (1:44)
  10. The Palace (2:25)
  11. The Legend (3:57)
  12. Morning Camp (3:16)
  13. The Letter (2:30)
  14. Something of Value (3:48)


いきなり1曲目のイントロで「どっ! どどどどっ!!」と大太鼓のような音が入ります。
そして中東的な音色(映画の舞台はモロッコです)が木管楽器と金属系パーカッションで鳴り響き、西欧風金管が入り込みます。
そしてまた「どっ! どどどどっ!!」と鳴り響いた後に、フレンチホルンによるゆったりとした勇壮なメインテーマが奏でられます。
ショーン・コネリー演ずる族長ライズリのテーマ曲、このメロディが美しい。
合いの手として入るトランペットも曲を締めていて、この人らしいです。
後にゴールドスミス自身の映画音楽コンサートで定番メドレーにも入っている、作曲者お気に入りの曲でもあります。
全編、このテーマをモチーフに手を変え品を変えて展開されるのも、ゴールドスミスらしい映画音楽としての上手さだと思います。



『2.』の砂漠の雄大さ愛おしさ、『3.』『7.』の中東風メロディに乗せたアクション場面のパワー炸裂。
特に『7.』の捕らえられたキャンディス・バーゲン母子を救出すべく、単身ライズリが人さらい連中をバッタバッタと切る場面の殺気みなぎる音楽はどうでしょうか。
凄いとしか言いようがありません。
黒澤明に心酔していたジョン・ミリアスの、彼なりの『隠し砦の三悪人』へのオマージュ溢れる場面でもありました。
これを聴かずしてアクション音楽の何を聴くというのでしょうか。


耳を奪うのは多彩なパーカッションの数々。
解説書によると、スネアドラム、バスドラム、シンバル、ティンバル、エレファント・ドラム、フィールド・ドラム、テナー・ドラム、ボンゴなどが使われているとか。
元々多種多様なパーカッションが好きなゴールドスミスではありますが、ここでは余り聴いたことのない音色も多い。
時に力感を前面に押し出し、時に緊張感を盛り上げ、時に情緒に彩りを与える使い方はさすがです。


映画は迫力のある前半に比べて、話法がもたつく後半がやや弱いものの、ミリアスらしい黒澤へのリスペクトが垣間見える快作でした。
何よりも主人公のショーン・コネリーの男らしさ、貫禄、子供っぽさの素晴らしさ!
私見では、1970年代の彼の代表作の1つです。
そして映画を大きく支えていたのがこのスコアでした。
この映画以降、ゴールドスミスはコネリー映画にちょくちょく登板するようになるという、記念すべき1本でもあります。


私の持っているアルバムはシオドア・ローズヴェルト宛の手紙で、自らをライオンに、ローズヴェルトを風に例えた族長ライズリ(ショーン・コネリー)側の曲のみを収録しています。
だから本当はアルバム・タイトルは『ライオン』になる?というのは冗談として、風に例えられたローズヴェルト(ブライアン・キース)らアメリカ側の曲は収録されていません。
英文解説書によると、アメリカ側はミリタリー調の曲だとのこと。
そう言えばそうだったような気がしますね。
近年出た完全盤には、恐らくそちらも収録されていることでしょう。


ミリアスはこの後、故バジル・ポールドゥリスというやはり男節作曲家と幸福な出会いをします。
しかしこの1本のみとなった、ゴールドスミスとのコラボレーションも素晴らしいと思います。


こちらが完全盤。

The Wind & the Lion

The Wind & the Lion

豪華2枚組となっています。


こちらは私が持っているのと同内容の1枚ものになります。

The Wind and the Lion

The Wind and the Lion

The Wind and the Lion

The Wind and the Lion


ゴールドスミス名曲メドレーが入っているCDはこちら。

ジェリー・ゴールドスミス映画特選名曲集

ジェリー・ゴールドスミス映画特選名曲集

イントロのパーカッションはコンサート同様にティンパニになっていて、迫力ではサントラ盤には負けています。
しかし演奏はロンドン交響楽団なので素晴らしい。
音質も良いです。
尚、輸入盤はSACDとCDのハイブリッド盤になっています。
Film Music of Jerry Goldsmith (Hybr)

Film Music of Jerry Goldsmith (Hybr)