days of cinema, music and food

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失踪日記2 アル中病棟


寝床にて吾妻ひでおの『アル中病棟』を読了です。
アマゾンへの発注は昨夜の深夜なのに、今朝に届くという超速攻振り。
どうせ夜に到着だろうと思っていたので、他の本も頼めば良かったなぁ…。


吾妻ひでお自身のアル中、鬱病を描いたノンフィクションマンガの傑作『失踪日記』というのがありました。
読んだのは、もう8年も前なのですね。
我ながら歳を取る訳です。
その続きとしても読めますが、単独の作品として読んでも大丈夫です。


これは傑作だった前作よりもさらに傑作ではないでしょうか。
ほんわかした絵柄はそのままなのに、コマの描き込みが凄い。
とにかく人人人で、病棟という閉鎖空間が描かれています。
アル中病棟という、余り世間一般ではお目に掛かれない「異世界」についての「解説」もみっちり。
ある種のハウ・トゥ・本にすらさえなっています。
そこで活き活きと(?)描かれる多様な人物象。
吾妻自身に対しても、奇行を繰り返す人に対しても、真っ当な言動の人に対しても、皆、公平に醒めた目線を送りつつ、冷徹ではありません。
これは全編に漂う虚無と恐怖がユーモアに包まれ、悪夢と紙一重の見知らぬ世界へと読者を誘うからです。
女性の看護士が皆綺麗というのも、美少女漫画家らしく、またほっとさせられます。


要所でのコマの使い方も含めて、閉鎖感と解放感の対比も素晴らしい。
マンガならではの表現が随所に見られる傑作。
お勧めです。


失踪日記2 アル中病棟

失踪日記2 アル中病棟