Bullitt
購入後、暫く放ってあったDVD『ブリット』を鑑賞。
先日の『ミリオンダラー・ベイビー』といい、これといい、何だかハードボイルド映画を観たい気分のようです。
数年振り何度目かの鑑賞で、ようやく筋が分かりました(^-^;
もっとも、あちこち全く説明が無い箇所もあるので、そこいら辺はお手上げですが。
いや、元々話が分かりにくい映画として有名(?)なのですけども。
警部補ブリットが追う事件の真相が入り組んでいる上に、映画として説明不足なので、分かりにくいのです。
原作小説では、事件解決後にブリットが同僚に真相を説明する場面があるそうですが、それはバッサリとカットされています。
ただ、全体に説明が少ない為に、ハードボイルドな雰囲気が益々出た印象なのは否めません。
それにしてもこの映画、台詞と音楽の少なさに驚きます。
少ないな・・・という印象はあったのですが、ここまでとは。
役者は基本的に表情と動作で感情を表現し、ラロ・シフリンのジャズ・タッチの音楽も、必要最小限に留められています。
それがまたカッコ良いのです。
パブロ・フェロによる有名なタイトルバック(ルネ・マグリットに着想を得たとは!)と、クールなジャズ音楽からして痺れます。
サントラCDも持っていて、何度となく聴き直していますが、こちらもグッド。
但し、当時のサントラ事情の常で、映画に使われたものとは違う、レコード用の演奏ですが。
お陰で本編を観ながら「あ、あの曲はこんなところで使われていたんだ」と発見があり、とても楽しかったです。
音楽もジャズならば、オリジナル・ポスターもジャズ・レコードの影響が色濃いもの。
ほら、線と色で区切ったデザインになっているでしょう?
こういうデザインは、ブルーノートに代表されるジャズ・レコードのジャケット・デザインの影響によるもののようです。
文字通り先駆けとなった有名なカーチェイス場面も、そこに行くまでの緊迫感を音楽で表現しますが、いざアクションになると効果音のみ。
最近の映画ならば、こうはいかないでしょう。
現代に作られたなら、過剰な台詞と下品に盛り上げようとする音楽の洪水になった筈。
ここまで思い切って作られたかどうか、疑問です。
こういった大人のサスペンス・アクションも、最近ではすっかり観られなくなり、残念ですね。
カーチェイス場面は今では驚かないかも知れませんが、それでも結構迫力があります。
やはりそこまでの盛り上げも上手いのでしょう。
それにクライマクスの空港の場面の緊迫感。
マイケル・マンの傑作『ヒート』のクライマックス。アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの追跡場面は、この映画へのオマージュではないでしょうか。
さて1968年のこの映画、やはりスティーヴ・マックィーンを観る映画です。
タートルネックの黒いセーターにガンストラップ、その上にブラウンのジャケットというファッションは、公開当時衝撃的だったとか。
動きは表情、着こなしや車の運転など、全てが決まっています。
公開当時38歳にして顔も梅干の種のようにシワシワ、既に渋かった訳ですが、こういった大人の男を表現出来るハリウッド・スターも居ませんなぁ。
それとマックィーンの相手役のジャクリーン・ビセット!
公開当時24歳ということで、かなり若い!!
私などは、美女とは彼女の為にある言葉ではないかと、真剣に思ってしまいます。
それくらいの美貌の持ち主ですが、1970年代を代表するスターも、結局は代表作に恵まれなくてちょっと残念ですね。
美貌にも恵まれ、スタイルにも恵まれ、演技力も兼ね備えていたのに、未だに語り草と言ったら、あの深みの無い凡作海洋スリラー『ザ・ディープ』の、ほぼ全編ノーブラ&濡れたTシャツ&アクアラング姿ですから。
残念ながらこの映画の彼女も、男性ハードボイルドの添え物的な役どころに終わっています。
ブリットの住む殺伐とした世界と、普通に働いて暮らしている一般人が住む世界の、橋渡し的役どころとは言え。
監督ピーター・イエーツの音声解説に特典ディスクと、まだまだ宿題は残っています。
こちらを観て行くのも楽しみです。
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