days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe


今日は部署としてのI課長送別会(その3)があり、大変楽しく、飲み屋で期待していなかった割には料理も美味しく凄い量で、飲み放題の筈なのに余り飲めなかったという事態になったくらいでしたが、それでも今日は書いていなかった映画のことについて書きます。


公開から何週間か経ち、ようやく観て来ました。
ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』を。


C.S.ルイスの原作は思い出深いシリーズです。
小学生のときに「クリスマス・プレゼントとして何が欲しい?」と両親に訊かれた私は、迷わずこの全集をお願いしました。理由は1つ、当時夢中になって読んでいた『ドリトル先生』シリーズの巻末の紹介に、このシリーズが載っていたからです。
架空の国の歴史ものだろう、きっと騎士とか出て来て面白いに違いない、と信じていました。
クリスマスの朝に到着したハードカバー全7巻を見て、大喜びだったのは言うまでもありません(もちろん、サンタに配達してもらったものです)。


早速第1巻の『ライオンと魔女』を読み始めると、どうやら思っていたものと様子が違います。
衣装だんすの向こうは雪に覆われた森で、街灯がぽつんと立っています。
しかし違和感は最初だけ。
ここはどこだろう?と不思議がるルーシーと、フォーンのタムナスさんとの出会いから、もう夢中になって全巻を読破しました。


次男エドマンドが、邪悪な白い魔女がくれたプリン(瀬田貞二訳ではそうでしたが、実際にはターキッシュ・デライト)が美味しそうで、悪の誘惑に屈するのも無理は無いと思いました。
ナルニア王であるライオン、アスランの雄々しさは憧れでした。


全体で何度も読み返しましたが、特に第1巻の『ライオンと魔女』は何回読んだことやら。
最終巻『さいごの戦い』のエンディングがいかにショッキングだったことやら。


ということで、原作はかなり大好きだったのですが、映画化されると聞いて「はて?」と思ったのも事実です。


このシリーズの魅力は、『指輪物語』とは違う、簡略化された童話ならではの語り口やテンポの良さだったから、と思ったからです。
また、クリーチャーよりも英語を喋る動物が大挙登場するのですから、果たして映画にした場合、大人の鑑賞に耐えうるのか、とも思いました。
クライマクスに大戦闘場面が用意されていると聞いて、そんな場面あったっけ、雰囲気を変えていないか、魅力の抽出手段が間違っていないか、とも思いました(実際には2ページぐらいで具体的描写は殆ど無く、さらりと描かれているだけです)。


北米では評価の高かった映画ですが、実際に観てみると危惧は当たっていました。


原作が童話なので、要所要所で「これは子供向け映画だから」と自分に言い聞かせる自分が居ました。これは大人の鑑賞に耐えうる作品ではありません。なのに、短い原作を2時間を優に越える上映時間に引き伸ばした結果、テンポの良さが失われています。
クライマクスの戦闘場面もそう。あのアプローチは原作にあった魅力を勘違いした結果です。


タムナスさんがルーシーにおいおいと泣く場面も、想像よりも涙の量が少ない、などと思いつつも納得したりで、序盤は中々良い感じだったので残念です。また、今観るとキリスト教のイメージが色濃い発見があったりしたのは、個人的な収穫でしょう。


指輪物語』の映画化『ロード・オブ・ザ・リング』の成功に影響されて、どうやらこの映画の製作者たちは映画を誤った方向に導いてしまったようです。
果たしてこの感想が、私自身の童心が失われた結果なのか、それともやはり映画のアプローチが誤っていた結果だったのか、原作を読み直して確認したいものです。


そうそう、森の中の街灯。あれはほぼイメージ通りでした。


次回作『カスピアン王子のつのぶえ』も製作が決定したそうです。
なんのかんので観に行ってしまうのでしょうけれども。