days of cinema, music and food

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Syriana


明日で上映も終了するので、見逃していた『シリアナ』を観て来ました。
今年のアカデミー賞ジョージ・クルーニー助演男優賞を受賞した作品です。


中東での石油の利権を巡って、如何にアメリカが汚いことをしているかを描いているスリラーです。数多い登場人物、複雑な相関関係、全体がパズルのようですが、各登場人物はそのパズルの1片であり、全体を知ることが無い。


スティーヴ・ギャガンの脚本&初監督作品は、やはり脚本を担当した『トラフィック』と同じ構成の映画になっていました。
見逃せないのは、これも1970年代風の硬派作品であること。『ミュンヘン』『ブロークバック・マウンテン』と、次々と1970年代の香りを持つ作品が公開されるのは、当時の作品をテレビの洋画劇場で楽しんでいた者にとって、嬉しいことです。


CIA工作員役のジョージ・クルーニーは、でっぷりと太ってむさくるしいヒゲを生やし、冴えない服装でイメージ・チェンジ。ジョージ兄ィも良かったけど、クリストファー・プラマージェフリー・ライトクリス・クーパーといった役者の方が印象に残りました。今年の受賞は、やはり『グッドナイト&グッドラック』の製作・監督も含めての受賞なのでしょうね。


アメリカの凄いところは、自国に汚い面も映画にしてしまうこと。
建前では中近東の民主化を叫んでいますが、自国に不都合な民主化は排除する姿勢。
こういったところをアートなりエンタテインメントなりに作る姿勢は、日本には中々無いですね。


鑑賞中に脳内交通整理が必要な映画ですが、見応え充分です。
もう少し娯楽性があっても良い気もしましたが。
機会がありましたらどうぞ。


ジョージ兄ィの監督作品『グッドナイト&グッドラック』も楽しみです。
こちらも「1970年代風」と思われます。