ベートーヴェン『交響曲第7番』聴き比べ
先日、思わずHMVで衝動買いしてしまったベートーヴェンの『交響曲第7番』SACD/CDハイブリッド盤(ドイツ盤)を聴きました。
私がこの曲を好きになったのは、ジョン・ブアマン監督、ショーン・コネリー、シャーロット・ランプリング主演のSF『未来惑星ザルドス』をテレビで見てから。
巨神像ザルドスの頭部が音も無く飛ぶ冒頭で流れる、オルガンによるもの悲しくも壮大なテーマ曲が印象に残りました。
テレビ画面に映し出されたクレジットの小さい字で読めたのが、この曲だったと言う訳です。
さて、私はSACDプレイヤーを持っていないので、CDプレイヤーでの演奏です。
指揮は変態とも天才とも言われた故カルロス・クライバー。
演奏はバイエルン州立オーケストラ。
1982年5月3日のライヴで、名演奏と言われているものです。
SACDプレイヤーで聴いたら、さらに素晴らしかったに違いない、と悔しくなるくらい素晴らしい演奏です。
オーボエから始まる第1楽章で、伸びやか且つ鮮烈に。
埋葬行進曲風の有名な第2楽章で、陰鬱さが壮大に。
活気を取り戻した第3楽章から、音のカタストロフィが押し寄せる第4楽章でエクスタシーに。
歓喜と活気、力強い生命力がみなぎっています。
いやはや、音の迫力、オケの迫力をまざまざと見せ付ける演奏です。
壮大で雄大。
精緻でありながらせせこましくない。
一瞬も途切れることの無い緊張感と、それを維持する体力。
特に第3楽章と第4楽章の間が殆ど無く、息付く間もなく第4楽章に雪崩れ込みます。
これは凄い。
例えて言うならば、ピカピカに黒光りする大型高級スポーツカーでしょうか。
豪快で排気量もありながら、遊びを忘れない感覚。
切れ味鋭く、情感に流されない。
ギリギリの線で力技一本調子に陥らないスピード感。
車にうとい私は適当な車種が言えませんが、聴きながらそんなことを思い浮かべていました。
録音やリミックスも素晴らしく、音が立体的に収録されています。
手前に弦、奥に木管・金管が配置されているのが目に浮かぶよう。
思わずアンプのヴォリュームを上げてしまいました。
こうなると、大好きな『交響曲第7番』を聞き比べてみたくなるもの。
私にとっての定番は、LDで持っているレナード・バーンスタイン指揮、ウィーン・フィルによるものです。1978年のウィーンでのライヴ収録。
A面は『交響曲第3番英雄』で、『第7番』はB面。要は売りは『英雄』なのですが、私が繰り返し鑑賞したのはB面です。
こぶしの効いたメリハリのある演奏は、クライバー版と違う円熟味というか、柔らかさがあります。しかし豪快さや迫力は素晴らしい。演奏も見事。何度視聴しても素晴らしい。
友人から借りた『のだめカンタービレ Selection CD Book』にも第1楽章が収録されています。
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮、シュターツカペレ・ドレスデン演奏。収録年月日は不明です。
う〜ん、悪くは無いけれど、クライバー、バーンスタインに比べると切れが今1つ。いや、このまろやかさもこの人の持ち味なのでしょうが、どうやら私の好みではなかったようです。
同じ曲も違う演奏版で楽しめるのも、名曲ならではの楽しみですね。
・・・あれ、画像がアップできないや・・・。
【5/13付記】ハード障害だったようで、本日復旧したので再度アップ。
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