days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

supernatural


今晩は、先日ご紹介したファースト・インプレッションの2ndアルバム『supernatural』を取り上げます。


幕の内弁当のように選り取りみどりだった1stアルバム『WHAT'S NEW』とは変わって、全体に統一性が取れたアルバムとなっています。


心は上質なポピュラーミュージック。
覚えやすいメロディと洗練されたアレンジ、プロフェッショナルな演奏と、子供に聴かせるのは勿体無い。
ガールズポップでありながら大人の鑑賞に耐え得る作品に仕上がっています。


武田真治のカウントを取る声から始まる(彼のアルバムに宮田繁男が参加していた縁でしょう)1曲目の「すべては終わりから始まるのさ」の元気の良さ、2曲目の「太陽がくれた季節」の伸びやかさ、一転して逢瀬を歌う「天国は待ってくれる」の情感と、始まりから聴かせてくれます。
特に「太陽〜」は、シングルカットされた「すべては終わりから〜」のいわゆるB面の曲とするには勿体無い、単独でも充分に通用する程に派手でキャッチーな曲です。森宣之のホーンアレンジも格好良い。う〜ん、良いなぁ。


田仲玲子のヴォーカルは絶好調です。
前作はいっぱいいっぱいの感じがありましたが、そういった傾向は全くありません。
伸びやかで自信に満ち、一点の曇りも無い歌声が素晴らしい。
曲によって表情を変えているのは前作同様。
こんな歌が聴けるなんて幸せです。


宮田繁男のドラムスも村山孝志のギターもノリ良く好調。
バックを支えるミュージシャンの演奏も素晴らしい。
前作ではベースを沖山優司、井上トミオらが担当していましたが、今作は1曲を除いて元オリジナル・ラヴ小松秀行が弾いています。彼の派手ではないけど歌うベースも気持ち良いです。
また、バックコーラスが前作では田仲玲子1人でしたが、今作は彼女以外の声も使っているので、サウンド全体に広がりが出たように思います。


4曲目の「Blue Soul」のややせせこましい疾走感の後は、5曲目「Traveler」、6曲目「Reach Out」、7曲目「Lavender」と、ブラックミュージック調というかソウル調の曲が続きますが、どれも佳曲揃い。田中玲子の低めの歌声もさまになっています。彼女自身による歌詞も、いかにも素人っぽかった1stアルバムに比べて、格段に進歩しています。但し、宮田繁男村山孝志らの歌詞も増えているので、彼女の作詞の割合は減っていますが。


8曲目「今日を生きよう」の幸福感で一息付いたら、無機質なエレクトリックドラムの音ではっとさせられる9曲目の「絆」が始まります。恋に破れた女の「眩しい過去に住み続けてること/哀しいと言わないで」という内容で、メロディラインが歌謡曲調なのに、アレンジがかなり現代風なのが面白い。
こういったセンスが嬉しいのです。


シングルカットもされた最後の10曲目「Brand new day」は、別れた恋人と自分自身への歌。これまたホーンセクションが格好良い。これがこのバンド最後の曲となったとは皮肉なものです。それ故に、短い期間に活動したこのバンドの輝かしさが、より一掃目立ちます。


録音は邦楽らしく情報量が少な目で、生々しさとか迫力に欠けます。が、ヴォーカルよりも楽器の音が大きめに入っており、音量を上げてもうるさくない。音量低めでもヴォーカルを大きく録ってはっきり聴き取れるようにしている、いわゆる「ラジカセ向き」が多いここ暫くの邦楽CDの中でも、かなり異色ではないでしょうか。
こういった気骨も気に入っています。


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