days of cinema, music and food

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Poseidon


1972年に作られた名作『ポセイドン・アドベンチャー』のリメイクである『ポセイドン』初日に行って来ました。
豪華客船ポセイドン号が大波に襲われて転覆。上下逆さまになった世界で、沈み行く船内から脱出しようと、わずかに生き残った人々が船底へと向かう物語です。


プロットは原作及びその1972年版を踏襲していますが、登場人物やアクシデントは新たに作られています。おまけに最近の大作にしては珍しい99分という上映時間は、2時間弱あった1972年版よりも短い。長いエンドクレジットを除けば、本編は実質80分台でしょう。とにかくテンポが速い。


ウォルフガング・ペーターゼンの演出は、サスペンスやスリルの場面で冴えていてさすが。大掛かりな特撮も素晴らしい。


にも関わらずB級映画っぽいのは、登場人物たちがまるで描けていないままにさっさか展開して、感情移入する前に次々と死んでいくので感動も何もありません。原作及び1972年版にあったキリスト教的思想もばっさりカットされています。
それに上下さかさまになった世界をまるで生かしていません。主人公らが通り抜けるのは、殆どがダクトや通路、機関室ばかりなので、異様な世界を描いていた1972年版に比べて美術面で相当に見劣りします。お陰で船内の広さも体感できず、せせこましい出来上がりになっています。


単純な緊張感だったらこの2006年版に軍配が上がりますが、映画の出来は雲泥の差。割引料金で見るのであればOK、といった程度の出来でしょうか。


それにしてもご贔屓カート・ラッセルもおじさんになったなぁ、という思い。相変らず上手いんですけれどもね。リチャード・ドレイファスは随分前からおじいさんに見えていたけど、それには変わりなしでした。


原作邦訳は今度の映画に合わせて改名されていますが、よく出来たサスペンス・ドラマなので、是非どうぞ。読んだのは小学生のときだったので、ドラマがよく出来ていただけに無慈悲な展開が強烈でした。特に有名なラストがね。


ポセイドン 上 ハヤカワ文庫 NV キ 3-2

ポセイドン 上 ハヤカワ文庫 NV キ 3-2

ポセイドン 下 ハヤカワ文庫 NV キ 3-3

ポセイドン 下 ハヤカワ文庫 NV キ 3-3