days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Marathon Man


ツタヤにて中古DVDが980円で売っていたので即、購入。
1976年の名作スリラー『マラソン マン』です。
リアルタイムで観られなかった映画が、こうして自宅で観られるのはやっぱり嬉しい。


20年くらい前にテレビ放送で観て以来の映画は、初めてのノーカット版鑑賞(テレビだと30分くらいカットされていますからね)。
真夜中のカーボーイ』などの名作がある故ジョン・シュレシンジャーの力作は、最近のぺらぺらスリラーにない重厚さ。
じっくりと描かれた人物描写と、幾つかの強烈な場面が印象に残ります。
ナチの隠し財宝を巡る陰謀と殺人に巻き込まれた大学院生を、ダスティン・ホフマンが熱演しています。


特に有名な場面が、映画史に残る拷問場面。
ローレンス・オリヴィエ演ずるナチの残党が元歯科医だったということで、捕らえたホフマンをいたぶります。
僕は歯医者嫌いじゃないのですが、この映画の「キュィ〜ン」という音はイヤですねぇ。
記憶よりもずっと短い場面だったのですが、それでも強烈です。


それから、ホフマンが殺し屋たちから逃げる場面も迫力があります。
主人公がマラソンランナーであり、アベベを崇拝しているという設定なので、とにかく走る走る。
必死さが伝わる名場面です。


マンハッタンでのナチ残党が、ユダヤ人街で正体を見破られそうになる場面や、クライマックスの対決場面など、素晴らしい場面に事欠きません。
やはり名作は素晴らしい。


ダスティン・ホフマンも熱演ですが、悪役のローレンス・オリヴィエがおっかない。
DVD特典映像によると、既にガンが全身に転移していて、撮影に耐えられないのでは、という状態だったそうですが、そんなものは微塵も見せない迫力。
この作品でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたのですが、2年後の『ブラジルから来た少年』では主人公のナチ・ハンターの老人を演じていて、そちらでもアカデミー賞主演男優賞にノミネートされていました。
ホフマンの兄貴役ロイ・シャイダーもシャープで、時折見せる攻撃的な演技が素晴らしい。
役者が揃っているのも、重量感のある映画になった要因でしょう。


名手コンラッド・L・ホールの撮影も、都会の闇を切り取っていて上手い。
冒頭のステディカム撮影場面は、当時業界で「どうやって撮っているんだ?」と話題になったそうです。
ディック・スミスのメイクも要所で効果を上げています。特にロイ・シャイダーと殺し屋の場面が鮮烈でした。当時のディック・スミスは、血まみれメイク仕事に嫌気がさし始めた頃ですね。『ゴッドファーザー』や『タクシードライバー』で有名でしたから。


ウィリアム・ゴールドマンの原作は未読なのですが、読んでみたいと思って早20年です。
『ブラザーズ』という続編も出ているんですよね。こっちも読みたいんですけどね。


モノクロのオリジナル版ポスターのデザインも有名ですが、キャッチコピーが「A Thriller」とあるだけなのが、製作陣の自信が伺えます。


マラソン・マン (ハヤカワ文庫 NV (1085))

マラソン・マン (ハヤカワ文庫 NV (1085))

ブラザーズ (ハヤカワ文庫NV)

ブラザーズ (ハヤカワ文庫NV)