days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Flags of Our Fathers


昼は渋谷で『スネーク・フライト』を観て、夜は近所のシネコンで『父親たちの星条旗』を観て来ました。
日曜夜のレイトショーなのに、劇場は半分くらい埋まっています。
それだけ話題作ということなのでしょう。


ミスティック・リバー』、『ミリオンダラー・ベイビー』と大傑作を立て続けに作り出しているクリント・イーストウッドですから、期待せずにいられません。
その期待が大き過ぎたせいか、前2作ほどには心かきむしられる作品とまではいきませんでした。
内容を盛り込み過ぎて、主人公3人の若者の心情への切り込みが今一歩だったように思えます。


ですがこれはやはり秀作でしょう。


激しい戦闘と帰国後の騒ぎを交互に描き、そこに現代を絡ませるという、3つの時制を操る手腕はさすがだし、それによって戦争の激しさ・恐ろしさ・虚しさが浮かび上がる構図です。
この作品が画期的なのは、戦争には巨額の資金が必要であり、その為にヒーローを作り上げて資金を集めるのが政府である、とした点です。


イーストウッドの視点は飽くまでも個人の側に寄り添い、政府をまるで信用していません。
この姿勢は初期の出演のみの作品から一貫していて、全くブレが無い。


硫黄島の大戦闘を描いた作品は、日本人が殆ど全く出てこない本作と、日本側から描く『硫黄島からの手紙』で表裏一体を成す筈。
12月公開の次回作も非常に楽しみです。