days of cinema, music and food

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Children of Men


アルフォンソ・キュアロンの新作『トゥモロー・ワールド』は、『天国の口、終りの楽園。』SF版でした。
といってもあちらのような性春ロードムービーでなく、シリアスなSFサスペンスですけれども。


終始むっつりした、でも人間味のあるクライヴ・オーウェンの静かなる熱演、久々な感のあるジュリアン・ムーアの美しさ、一服の清涼剤となったマイケル・ケインの飄々たる存在ぶり。
役者でも見応えあり、です。


ポピュラー音楽を大量に使うのも、『天国の口、終りの楽園。』を思い起こさせますね。
但しあちらはメキシコの音楽なので馴染みが無いものばかりでしたが、こちらは知っている曲も多い。
おぉ、キング・クリムゾンの『クリムゾン・キングの宮殿』が流れると、大画面にはピンク・フロイドの『アニマルズ』が登場!
と、思わずにやけてきてしまいます。


長回しを使ったアクション/サスペンス場面は、近年すっかり調子が上がらないブライアン・デ・パルマより迫力あり。
前半にある車内の場面。
恋人たちの微笑ましい本当の再会から、一転しての悲劇と狂騒を描き切っています。
クライマクス。
立て篭もった反政府組織と、建物を攻撃する軍隊による市街戦。
観客は主人公同様に、無防備に戦場に投げ込まれる臨場感。
こういった技巧面でも注目したい。


鑑賞後は明るくはなれないけれども、世界的な少子化問題を絡めた現代の寓話として、一見の価値はあると思ったのでした。
P・D・ジェイムズの原作とはまるで違うらしいので、こちらも少々興味が出て来ました。


クリムゾン・キングの宮殿 (ファイナル・ヴァージョン)(紙ジャケット仕様)

クリムゾン・キングの宮殿 (ファイナル・ヴァージョン)(紙ジャケット仕様)

アニマルズ

アニマルズ

トゥモロー・ワールド (ハヤカワ・ミステリ文庫)

トゥモロー・ワールド (ハヤカワ・ミステリ文庫)