days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Flåklypa Grand Prix


2/10〜2/12の3連休に観て来た映画のご報告。
まずは人形アニメの名作『ピンチクリフ・グランプリ』。


私がこの1975年の映画を知ったのは初公開時です。
当時幼稚園生だった私の心を捉えたのは、クラシックカーの車体にゴテゴテとした迫力あるエンジンを積んだスーパーカ、イル・テンポ・ギガンテ号でした。
当時はスーパーカーブームだったのですよね。
まずはそこで子供心を掴まれたようです。


次に自動車が猛発進するときに、余りに凄さにアスファルトがめくれてしまうショット。
これは強烈な印象で、この映像だけでも観たくなったものです。
結局観ることは叶わず(両親にも観たいと言ったかどうか)、その後ヴィデオも出た形跡も無いので、長年幻の映画となっていました。


ところが昨年暮、30年振りのリバイバル上映をするというではありませんか。
これは観なければ。


ということで劇場に駆けつけた次第です。


人形アニメ映画としては技術的に非常によく出来ていて、多少粗っぽいアニメもご愛嬌。
とにもかくにも精緻を極めた大道具・小道具のミニチュアワークが素晴らしく、これは一見の価値ありです。
テレビの小さい画面ではおよそ分からないであろう、細部まで作り込まれた世界がここにはあります。
映画の中盤にあるバンド演奏場面。
普通ならば1曲フルコーラスを流したりしません。
ところがこの映画はフルコーラスで聴かせるばかりか、各演奏者の運指まできっちり正確に見せるのです。
この偏執狂に近いまでの情熱には圧倒されます。


ラスト30分のレース場面は手に汗握る大迫力。
人形アニメを見せるのが最優先で、物語のテンポは二の次の映画だったのが、この後半は猛スピード映像が迫力満点。
でも人形アニメなのが嬉しい。


観ていてジュネ&キャロの『デリカテッセン』や『ロスト・チルドレン』を思い出しました。
細部にこだわる余りに映画としてのペースがおろそかになっていた、あの2本です。
神は細部に宿ると言いますが、ここまでこだわった映画も珍しい。
牧歌的なノルウェー風情と共に楽しめる作品です。