days of cinema, music and food

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Perfume: The Story of a Murderer


書き忘れていましたが、『パフューム ある人殺しの物語』を観て来ました。
ベストセラーの原作は未読ですが、まずはこれだけ破天荒な物語を考え付いた作者を褒めたいですね。
時代劇なのにサイコ・スリラー調の寓話というのも面白い。


内容はと言うと、いやもうエログロてんこもり。
美少女連続殺人の全裸死体がごろごろ、数百人の大乱交にカリバニズムと、文字にするだけで物凄いことになっていますから。
大体にして、主人公からして数キロ先の人間の匂いを嗅ぎ分けるという、超人的能力を持つ連続殺人犯という設定からして凄い。
よくもまぁ、こんな人物を考え付いたものです、いやホントに。


なのですが、映画は今ひとつはじけていません。
いや、寓話的な内容をユーモアを交えつつ映像的にも壮大に映像化していて、それはそれで良いのですが、どうにも生真面目な印象。
思うに、トム・ティクヴァはエロスが分かっていないのでは。


最初の殺人の後、裸に剥いた赤毛の少女の匂いを嗅ぐ場面などあるのに、どうにもエロスが匂わない。
主人公はまるで性=生=エロスに興味が無く、単に「匂い」にだけ執着します。
だからタナトス志向なのは当然としても、彼がエロスではなく「匂い」に執着する感情が画面から伝わらない。
彼にとってはタナトスこそエロスなのだから。
ですから映画そのものがエロスに欠くようでは、と思ってしまうのです。
やはり匂いを映像化するのは難しいようです。


主人公を演ずるベン・ウィショーは口数少なく無表情ながら好演。
ダスティン・ホフマンアラン・リックマンらも手慣れた演技なのは、安心して観れます。


映画「パフューム ある人殺しの物語」オリジナル・サウンドトラック

映画「パフューム ある人殺しの物語」オリジナル・サウンドトラック


サントラはラトル指揮のベルリン・フィル演奏ですが。
メロディは余り印象に残らない、現代音楽調の曲でした。
荘厳で迫力はあったのですが。