days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Hustle & Flow


ツタヤにてDVDレンタル劇場は、『ハッスル&フロウ』。
ちょっと気になるテレンス・ハワード主演の音楽映画です。


舞台はメンフィス。
主人公はかつてラッパーを目指したものの、今やポン引きをしている薄汚れた毎日を過ごしています。
しかし人気ラッパーが町に凱旋コンサートを開くということで、デモテープを作ってラッパーに渡し、どん底の生活から逃れようとします。


黄色い文字をあしらった1970年代風タイトル・デザインと、ザラついた画調の映画です。
そうそう、オリジナル・ポスターのデザインも1970年代風ですよね。
丁度その頃のブラックスプロイテーション映画風の、と言いましょうか。


成功を夢見て這い上がろうともがき、挫折し、しかし希望の光が差し込んでくる。
基本はシリアスだけれども、時折挟み込まれるユーモアのせいで重苦しくない。
全体に丁寧に作られた映画との印象を持ちました。
その丁寧さというのは、欠点だらけで好人物ではないかも知れないけれども人間味のある主人公や、彼が囲っている売春婦たち、ミキサーをやってくれることとなった旧友とその妻などの人物描写。
それに録音風景やトラックを重ねていって曲が出来上がっていくまでの描写などが挙げられます。
脚本と監督を担当したクレイグ・ブリュワーは元々メンフィス出身の舞台演出家だそうですが、そういったキャリアが映画に影響しているのでしょう。
人物を見つめる視線が突き放していない冷静さで、好ましく思えました。


この映画を引っ張っているのは、紛れも無く主演のテレンス・ハワードです。
殆ど出ずっぱりの彼は吹き替え無しでラップを吹き込み、魂を搾り出すような音楽の成功に寄与しています。
クラッシュ』の白人英語に近い発音や演技と全く違い(あちらも役作りでしたが)、社会の底辺でもがく男を熱演しています。
もっと彼の出演作を観てみたくなりました。


馴染みのバーテン役がアイザック・ヘイズ
この人、すっかり好々爺になりましたが、相変わらず素敵な地声ですね。


主人公が作るデモテープ曲の『It's Hard Out Here For A Pimp』は、アカデミー賞の歌曲賞を受賞しました。
かなりクールな曲で耳に残ります。


これは『8 Mile』と並ぶラップミュージック映画の佳作としてお勧め出来ます。


ハッスル&フロウ [DVD]

ハッスル&フロウ [DVD]

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Hustle & Flow

Hustle & Flow