days of cinema, music and food

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Spider-Man 3


ようやっと『スパイダーマン3』を観られました。
シネコンでのレイトショーは2館上映。一番大きなTHXシアターは6割程度の入りと、意外にも座席はゆとりがありました。


サム・ライミの映画版はどれも好きですが、やはり完成度では前作『スパイダーマン2』が傑作だっただけに、ちょっと脚本のまとまりで劣るように思えました。
こおシリーズは青春ドラマとヒーローアクションの見事な一体化が、史上最も優れたアメリカン・コミックの映画化と言っても過言ではない出来栄えだったのですが、今作はその点でドラマとアクションがやや分離しているかのように感じました。


それは悪役にグリーン・ゴブリン、サンドマン、ヴェノムと3体も出しておきながら、どれも同じテーマの変奏曲であるからかも知れません。
曰く「悪党にも一分の理」。
それを何度も繰り返して奏でている訳です。


非常に道徳的なこのシリーズらしいとも言えますが、その分青春ドラマとしての魅力が落ちてしまいました。
アクション→ドラマ→アクション→ドラマとぶつ切りとなり、それぞれの素材の有機的結び付きが希薄なのです。
ちょっと内容を詰め込み過ぎた感がありました。


特撮を駆使したアクションは、『1』から『2』にあったような爽快感のレベルアップが無かったのは残念。
しかしサンドマンの特撮などはかなり目を楽しませてくれます(サンドマントーマス・ヘイデン・チャーチも好演)。
クリストファー・ヤングの音楽はかなり期待外れでした。
この人、本来は良いメロディも書ける人なのですが、ダニー・エルフマンのテーマ曲使用の縛りのためなのか、個性がまるで出ていなくてがっかりでした。


なんのかんの書きましたが、娯楽映画としての出来は悪くありません。
ユーモアやブルース・キャンベルの使い方など笑わせてくれますし、サム・ライミらしい極端なキャメラ・ワークも健在。
やはり『2』の出来が良過ぎたのでしょう。


2時間半近い長尺の映画で、途中の脱線モードも可笑しく(人によってはムダと思うかも)、これはこれで結構楽しませてもらいました。


そうそう、このシリーズお楽しみのカイル・クーパーによるタイトル・デザインもクールだったことも言い添えておきましょう。