days of cinema, music and food

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マイケル・ベイって・・・


先日のトランスフォーマー』の感想で、

まずはっきりさせておきたいのは、私はマイケル・ベイが嫌いだということ。
泣け、興奮しろ、とばかりに押し付けがましく自信過剰なマッチョ、しかし演出技術が付いていかない。


と書きました。
元々ドライな監督と言おうか、登場人物への共感もロクに無いのにドラマをむりやり盛り上げようとしつつも、実は最大の興味は「破壊」だというのが見え見えでした。
別に破壊趣味は良いけれど、だったらうそ臭い感動強引盛り上げはやめろよ、と映画鑑賞中に思ったものです。


ところが前作の『アイランド』と『トランスフォーマー』は、まぁ「興奮しろ」はあっても「泣け」はありません。
この2本の共通点はジェリー・ブラッカイマー製作作品で無いこと。
先日の感想を書いてからふと思ったのは、実はエセ感動路線はこのプロデューサーの好みなのではないか、と。


ブラッカイマーのフィルモグラフィには、先日の怪作SFスリラー『デジャヴ』の「感動ラスト」もそうですが、至極マトモな感動系ドラマ『タイタンズを忘れない』なども含まれています。
キャリアの初期には『フラッシュダンス』やスポ根『トップガン』などもあります。
そういや『タイタンズを忘れない』もスポ根系ですな。
つまりはスペクタクルものと感動ドラマを製作しているのですよね。


ということで、自信過剰のマイケル・ベイと、エセ感動路線のジェリー・ブラッカイマーの作品は、それはもう息苦しくなるほどにで押し付けがましい映画となったのではないでしょうか。
アルマゲドン』と『パール・ハーバー』の中身スカスカなのに、最後は泣きに入る強引な展開は、ある意味この2人の金字塔と言えるのかも知れません。


ザ・ロック』の妻と赤子のために奮闘するニコラス・ケイジ、国を信じて裏切られたエド・ハリスと、共感させよう登場人物を2人も出したのだから、念の入ったもの。
でもこの映画で一番楽しかったのは飄々としていたショーン・コネリーでしたが、彼にも娘との和解というドラマが用意されていましたね。


どのような理由かは知りませんが、とまれマイケル・ベイはブラッカイマーから離れました。
ベイが感動しない路線に突き進み、超鬼畜アクションコメディ『バッド・ボーイズ2バッド』を監督するだけでなく、ホラー会社専門プロを立ち上げて往年のホラーのリメイクを連発。
テキサス・チェーンソー』などといったオリジナルよりも残忍なスラッシャーを製作し、鬼畜趣味全開に爆進しているのは興味深いことです。




アクション・コメディかと思って観に行ったら(いや、そうではあったけれども)、バラバラ死体が出て来たり、死体の腹に手を突っ込んだり、クライマックスでは脳天粉砕と、何だか凄かったです。


ベイのフィルモグラフィは監督・製作作品に関わらず、全てが破壊路線の映画ばかり。
破壊の対象が機械か人間かの違いだけで、ある意味首尾一貫していて大したもの。
で、これに共感したのが趣味を同じくするスピルバーグではないか(笑)というのが、私の勝手な推理でございます。