days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

A Good Year


今日は映画の日なので、久々にハシゴです。
川崎DICEにてまずは1本目、『プロヴァンスの贈りもの』。
14時半からの回はほぼチケット完売。
映画の日とはいえ、恵比寿にてワインに興味のある女性層に大受けだけのことはあります。


バリバリの冷血トレーダーが、死んだ叔父の遺産を売却しようと少年時代を過ごしたプロヴァンスを訪れ、やがて心がなごんでくるというお話。
ピーター・メイルの原作は未読ですが、プロットからすると大したお話ではないのでしょう。
予定調和の世界をどう語るか、というのが大切になってきます。


本作の監督は大好きなリドリー・スコット
おまけに主演はこれまた大好きなラッセル・クロウです。
2時間弱にまとめられた映画は、飽きさせないし時折笑える場面も出て来ます。
美しい風景の捉え方もさすが。


しかし肝心の語り口がどうにもせわしない。
序盤は良いとしましょう。
多忙なトレーダーが主人公なのだから、ロンドンからプロヴァンスに舞台が変わっても、都会での調子を引きずっているのだから。
ラッセル・クロウの「ここまでやるか」というドタバタも楽しいし。
でもプロヴァンスに移ってきてからは、もっと落ち着いた語り口にならなかったものなのでしょうか。
笑いや退屈させまいとするテンポ重視になって、心地良さが欠けています。
物語には色々と気になることが散りばめられていて、確かに先が気になるようになっているのですが、それよりも主人公の心情の変化をゆったり描くべきだったのではないでしょうか。
魅力的に描かれているだけに、プロヴァンスの陽光や風などをもっと浴びたかった、と多少の欲求不満に陥りました。


ということで、リドリー・スコットとしてはちょっといまいちな一編でした。
この人、出来不出来が結構はっきりしていますからね。
いや、好きなんですけれど。
原作が読みたくなってきました。


町のレストラン・オーナー役マリオン・コティヤールの鼻っ柱が強い美女振りは、ラッセルでなくともノックアウトされること請け合い。
そりゃあんな美女が居れば、田舎に残りたくなりますわな。
アルバート・フィニーはすっかり名脇役ですね。
こういう役者は貴重な存在です。


プロヴァンスの贈りもの (河出文庫)

プロヴァンスの贈りもの (河出文庫)