days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

"La Môme" and "Stardust"


上映規模も縮小されつつある『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』をようやく観られました。
朝9時半過ぎからの回、車で1時間弱ほど離れたシネコンでの上映。
公開から1ヶ月経ったのに、しかも朝1番からの上映のみという扱いなのに、だからかも知れませんが入りは4割程。
年齢層は幅広く、男女比は4:6くらいでしょうか。


映画の原題名は「雀」の意味。
ピアフの初期の芸名です。


この映画を解く鍵は、イヴ・モンタンの扱いにあると思います。
モンタン(私も大好きなスターでした)はピアフに見出され、恋人同士もあったのですが、彼が登場するのは終盤に台詞で2回触れられるのみ。
ピアフとモンタンの関係は有名だけに奇異にすら感じられます。
映画ではピアフの恋愛はボクサーのマルセル・セルダンのみに絞られており、そこが彼女の人生で数少ない幸福な時間とさえ受け取られるような描き方をされています。


波乱に満ちた生涯を2時間強にまとめるのは難しいと、内容の取捨選択はかなりされたのでしょうが、恋多き女を主役に据えた割にはかなり思い切ったもの。
つまりはこれはエディット・ピアフという素材を使った、ある女性の孤独と悲しみに満ちた人生を描くのが主眼であり、いわゆる伝記映画とは違うのではないでしょうか。
複雑な時間軸を操作することによって、死期を迎えつつあるピアフと、幼少期から成功までの様子を錯綜させつつ、過酷で悲しみに彩られた女性の人生が浮かび上がってきます。


印象的だったのは、ピアフとセルダンの別れの場面。
ステディカムによる移動撮影で愛しい恋人を部屋に迎えるピアフを延々追い掛け、ステージに上がる様までとワンショットで捉えています。
そこで披露されるのが有名な『愛の賛歌』。
本当の歌の意味を知ったのは初めてだったので、私にとっては意外性と感動に満ちた場面でした。
オリヴィエ・ダアン監督作品は初めてですが、まだ若いし次の作品も楽しみです。


それにしてもマリオン・コティヤールの化けっぷりが凄い。
プロヴァンスの贈りもの』を観たときには長身で色っぽい美人のお姉さんと思いましたが、素顔を隠しての取り付かれたような鬼気迫る演技。
撮影やメイクにも助けられたとは言え、身長140センチ代のピアフを大熱演しています。


全編に流れるピアフの歌と共に、忘れえぬ映画体験をさせてくれる力作として、お奨めしたい映画です。


エディット・ピアフ~愛の讃歌 サウンドトラック

エディット・ピアフ~愛の讃歌 サウンドトラック





この日は実は近所のシネコンで『スターダスト』レイトショーを観たのですが、盛り上がってきてもうすぐクライマクス、というときに何と上映中断。
他の小屋でも中断してしまい、1時間近く待っても再開の目処が立たないということで払い戻しを受けました。
ロビーから廊下まで払い戻しの長蛇の列となっていましたが、劇場内で列が無くなるのを待っていました。
最近のシネコンは人件費削減の意味もあって、映写機はコンピュータ制御で技師の数も少ない。
恐らくその制御システムがダウンしたのではないでしょうか。


時間もかなり掛かったのだし、単に払い戻すのではなく無料券を配布するなりしては如何かと、スーツ姿のお兄さんに提言したところ、名前を名乗れば後日無料で観られるようにする、とのこと。
私個人ではなく、払い戻しの際に客全員に言って下さいと、さらに提言しました。


映画は時間潰しにもなりますが、同時に時間を取られる娯楽でもあります。
そういった考えが今後はサーヴィスに反映されることを期待したいものです。


さて映画は詰まらなさそうな予告と違ってとても面白く、イギリス風の捻ったユーモアが随所にあって笑えます。
続きが気になるので、また観に行こうかな。
でも同じのを間隔置かずに1時間半強も観るのもなぁ。。。という感じもして悩みどころ。