days of cinema, music and food

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Disturbia


アメリカでは好評&ヒットのスリラー『ディスタービア』の鑑賞です。


父親の死をきっかけに心が荒れた高校生シャイア・ラブーフが、教師を殴って自宅軟禁処分に。
足首にセンサーを付けられ、台所に置いてある装置から30メートル以上離れると警察に通報が行くことになります。
新しく越して来た美少女サラ・ローマーに心奪われたりしますが、やがて隣人デヴィッド・モースが連続殺人犯でないかと疑います。
美少女、同級生のスチャラカした親友らと真相を探ろうとしますが・・・。


よく言われるようにアルフレッド・ヒッチコックの名作『裏窓』の現代版かと思いきや、かなり現代風且つオリジナルの映画になっています。
確かに主人公の行動に制限は掛けられているし、自宅軟禁状態になってからの日常生活が暫く続くところでは、主人公同様にカメラは外に出ません。
映画はスリラーの様相を呈することはまるでなく、精神的に問題を抱えた少年の青春ものとして進んでいきます。


しかし映画は後半、それまでの青春ドラマからスリラーに転調するに至って、ヒッチコックの名作のように「部屋から出ないカメラ」という約束に陥らず、むしろ自由に動き回ります。
それが『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のような荒れたヴィデオ映像や、クライマクスの自宅以外での死闘となっているのです。
D・J・カルーソーの演出は、中々見せると言っておきましょう。


そのクライマクスでは『ブレア・ウィッチ〜』だけではなく、『ポルターガイスト』を彷彿とさせる描写まで登場、ちょっとしたホラー/スラッシャー映画にさえ変貌するサーヴィス振り。


一昔前だったら主人公は孤独に戦うのでしょうが、美しい隣人、韓国系の親友と共闘するのが現代の青春映画らしい。
シャイア・ラブーフ君は等身大の青年を好演しているし、ケイト・ブランシェットを若く色っぽくしたようなサラ・ローマーも魅力的。
どちらも演技力抜群ではなく、映画の身の丈に合っているという意味で好感が持てます。


キャリー=アン・モスは母親役。
ゾンビーノ』といいこれといい、トリニティも母親役が似つかわしくなりましたね。


基本はスリラー、ではなく、青春映画。
それにスリリングな味付けをした映画となっています。
だから最初から最後までハラハラドキドキのみを期待する向きには合わない可能性もあります。
難点を言うと、私には幾つかの批評にあるように、父親を失った青年の成長物語には見えませんでした。
父親の死は飽くまでも主人公を自宅軟禁状態に置く為の、観客の反感を買わない為の単なる理由付けに見えます。