days of cinema, music and food

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Chicago


傑作ミュージカル『シカゴ』。
2年半振りの鑑賞です。


久々に観ると、冒頭からグイグイ引き付けられますね。
ロブ・マーシャルの演出は力強い。
それに観直すと、レネー・ゼルウィガーは悪くないなぁ。


むしろ良いのでは。


いや、確かにラストでのキャサリン・ゼタ=ジョーンズと一緒に歌って踊ると、露骨に差が見えます。
歌も踊りも一生懸命やっていて精一杯。
どこか遊び心さえ感じさせる余裕のゼタ・ジョーンズとは対照的です。


差があるのは歌と踊りだけではありません。
肉体の持つ存在感。
出産という幸福がもたらしたゼタ・ジョーンズのふくよかな肉体は、役柄に当時の女性らしいリアリティをもたらしました。
対してゼルウィガーは筋張った筋肉質で現代的。
リアリティの点ではマイナスは否めません。


でも彼女の歌も踊りも演技も、水準を遥かに上回るもの。
ショーとして十分観られます。
それに自己陶酔と自己中心の塊であるヒロインに対し、観客が嫌悪を持たないギリギリの線を保っているのは大したもの。


しかしまぁ、いつ観ても弁護士を演じるリチャード・ギアを、ジョン・トラボルタに置き換えている自分に気付きますね。
やっぱりトラで観たかったなぁ。
ギアのソフトな悪党弁護士も良いけれど、トラのいかにもな悪党も見たかった。
ギアも頑張っていますけれどもね。
ただ、トラだったら弁護士の持つイヤらしさ、悪党ぶりをダンスで表現出来たのではないか。
そう思ってしまうのです。
だから法廷での必死のパフォーマンスとタップダンスがシンクロする場面も、編集で随分と助けられていても、ギア自身は真髄までは演じ切っていない。
彼自身が慣れないタップを必死に踏む様と場面が重なってはいても、それ以上のものが無いように感じられてしまうのです。


まぁ、死んだ子の歳を数えても仕方ないのではありますけれども。


ご贔屓ジョン・C・ライリーは観ているだけで楽しい。
切なく歌う『ミスター・セロファン』には聴き惚れてしまいます。
それに踊り。
どこか緩慢な動きと、お世辞にも引き締まったとは言いがたい肉体の醸し出す味。
そして必死の叫び。
素晴らしい名場面です。
この人が主演した『Walk Hard: The Dewey Cox Story』がミュージカルなので、日本にも来てもらいたいのですが。
主演が地味だから無理かな。


ロブ・マーシャルの新作はやはりミュージカルの『Nine』。
出演交渉中のマリオン・コティヤールペネロペ・クルスハビエル・バルデムの皆が出演してくれて、歌って踊ってくれることを願いましょう。


DVD-VIDEOの映像は、最近Blu-ray DiscのHD映像を見慣れているのでどうかと危惧していましたが、すんなり映画の世界に入り込めました。
DTS音声も厚みがあるし。
でもこれがHD映像+リニアPCM音声だったら・・・と思ったのは言うまでもありません。