days of cinema, music and food

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The Golden Compass


ライラの冒険 黄金の羅針盤』先行上映に出掛けました。
TOHOシネマ横浜の字幕版14時半からの回は40人程度の入り。
孤児院のやんちゃ少女ライラが繰り広げる冒険を描く3部作の第1部が本作となる訳です。


いきなり驚いたのは、舞台が異世界だということ。
予告編などではてっきり有り得たかもしれない19世紀の世界かと思っていたのに、我々の世界とは似て非なる世界が舞台のファンタシーだったのです。


大作にも関わらず上映時間が2時間弱に抑えられているのは、家族向け映画としては誠結構なこと。
パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのように、無内容なのに無駄に長い上映時間の家族向け冒険ファンタシー映画にうんざりしている身としては、大いに有難かったです。
しかし有難くないのは、ちょっと展開がめまぐるく感じたこと。
魅力的な登場人物も多く、世界を股に駆けた大冒険の筈なのに、内容ぎっしりの物語を急ぐ余りに映画としての印象が薄いのです。


設定や物語も大いに魅力的。
これは原作の力が大きいのは間違いないでしょう。
特に興味そそられるのが、ダエモンという存在。
ダエモンは英語の発音だと「ディーモン」。
綴りは「Daemon」。
英語の「Damon」の語源だとか、「Damon」と語源が同じだとか。
彼らは動物の形をして人間に寄り添って常に行動を共にしているのですが、単なるペットではありません。
人間の精神が動物の形として具現化しているので、文字通り一身同体なのです。


道具立ては立派なのですが、脚本&監督のクリス・ワイツは傑作『アバウト・ア・ボーイ』のような映画の方が合っているのではないでしょうか。
真面目まのですがスケール感に乏しく、ケレン味に欠けています。


ライラはかなりおてんば娘のようなのですが、それが余り描かれていないので、冒険で成長してもその感動が薄い。
登場人物描写も少ない。
設定や役者達の演技にかなりおんぶにだっこでした。


思うに、上映時間をコンパクトにまとめる為にかなりの描写をカットしたのではないでしょうか。
お子様にはそれで良いのかも知れませんが、大人には物足りない。
海外での評価が芳しくなかったのは、そういった点もあったのではないでしょうか。
高額な製作費に見合った興行成績を北米では上げられなかったので、続篇の製作が心配。
だって物語はまだまだ途中なのですよ!
続きがかなり気になります。


ここは監督は別の人と立てて続篇を製作してもらいたいもの。
いや、クリス・ワイツ再登板でも構いませんが、もう少しファンタスティックな演出を望みたいところです。


特撮は見事だし、役者では悪役のニコール・キッドマンと、頼もしい「最後の西部の男」が似合うサム・エリオットが印象に残りました。
ダニエル・クレイグも富豪の貴族で学者で冒険家という役柄がぴったりでしたが、出番が少ないのが残念。
ポスターにもなっている鎧クマの声は何と大御所イアン・マッケラン
低い声が魅力的だったと言っておきましょう。