days of cinema, music and food

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Charlie Wilson's War


チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』初日です。
12時からの回、シネコンやや大きめの劇場は30人程度の入り。
マスコミではそこそこ話題になっていると思ったのですが、日本ではアフガニスタン問題は遠い過去だからなのでしょうか。
個人的には興味シンシンな題材なのですが。


テキサス選出の下院議員チャーリー・ウィルソンが、大富豪夫人と寝てから、ソ連によるアフガン侵攻で多くの人々が苦しんでいることを知り、極秘裏の武器援助作戦を実行する、というもの。
CIAも関与していたですから、かなり生臭い話しになりそうなものを、マイク・ニコルズはこれをコメディ仕立てに映画化しています。
無論、主人公がトム・ハンクスという「万人の良きアメリカ人代表」とも言える大スターを起用した時点で、余り生臭い話しにはならないのですが、これは吉と出たと思いました。
それに富豪夫人を演じるジュリア・ロバーツキリスト教に凝り固まっていて、結局は神の名に借りた戦争なのでは・・・などと思わせ、風刺も中々効いています。


面白いのは、主人公が「良きアメリカ人」でありながら、酒と女に目が無いこと。


チャーリーの秘書は全員美女で、しかも胸元が見えるようシャツも大きく開けていて、その名前がチャーリーズ・エンジェルというのが笑えます。
でもナンバーワンの秘書役エイミー・アダムス独りが、露出度ゼロなのが少々残念。
女性の露出度と言えば、ジュリア・ロバーツも、台詞も殆ど無く出番も少ないエミリー・ブラントまでもが、それぞれビキニや下着姿という映画。
なので冒頭から女性の裸も出て来ますし、言葉遣いも全体に汚いので、これは完全に大人向けのコメディなのです。
マトモに受け取っていたら、単純なアメリカ万歳なだけの映画にしか見えないでしょう。


出演者ではハンクスも良いけれど、肥満のCIAフィリップ・シーモア・ホフマン
この人はいつ見ても演技が上手いなぁ。
どんな役でも、どんなパターンの演技もこなしてしまう。
大袈裟な演技も、自然な演技も、役どころや映画の内容に合わせて変えてしまう。
外見を変えるのではなく、演技のパターンというか引き出しが豊富で、彼のような役者をカメレオン俳優と呼んでも良いのではないでしょうか。


全体にテンポも良く、所々のユーモアも効いていて、上映時間もエンドクレジットを除けば90分程度。
楽しく観られますが、弱いのがエンディング。
チャーリー・ウィルソンの言葉が字幕に出て御仕舞いになるのですが、ここをもっと具体的にすれば風刺コメディとして強力になったのに。
何故なら、ソ連に対抗すべくムジャヒディンを支援した結果、やがて9.11.が起きたのだから。
ここに突っ込まないでどうするんだ、これこそ最高最悪のブラックジョークだろうに、と思いました。
コメディで9.11.に触れられるような空気は、まだアメリカに無いのかも知れませんが。


エンドタイトルを観ていたら、懐かしい名前が色々出ていました。
特撮監修はリチャード・エドランド、それにスコタク兄弟の名前も。
1980年代に活躍したVFXマンも、まだまだ元気なようです。