days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Juno


先週金曜日は、前述したように早めに退社出来たので、夕方からの映画に行って来ました。
映画は『JUNO/ジュノ』。
18時半からの上映は、10人以内くらいという寂しい入り。
ですが、これはもっと当たってもらいたいくらいに楽しい映画でした。


16歳の望まない妊娠というテーマを扱いながら、ドライで笑い溢れるタッチになったのは、アメリカ映画ならではでしょう。
冴えないバンド仲間と好奇心でセックスしたは良いものの、妊娠してしまい、父親と義母はショックを受けつつ、冷静に現実的な対処をしてくれる。
周囲も最初は驚きつつも、受け入れ、応援してくれる。
堕胎しようと思うものの出来ず、養子募集の広告を見て応募するのも、養子縁組が余り一般的でない日本では考えられないのではないでしょうか。


ヒロインのジュノは、頭脳明晰で言うことがいちいち的を得ていながら、皮肉で一杯のユーモアなのが可笑しい。
エレン・ペイジの台詞回しも可笑しく、笑いがこぼれます。
全部は聞き取れませんでしたが、字幕では中々難しいものを、翻訳は善戦していたと思います。
絶妙なのが、皮肉っぽいユーモアで自分を守っている、まだ純粋なところもある高校生として説得力があるところでしょう。
これだけ冷静に周囲を見、自分を見られるなんて、大人でも出来ないこと。
そういった点で、これは御伽噺と言えます。


先に述べたように、周囲の大人たちの描き方もそう。
悪人はいず、それなりに分別をわきまえた人たちばかり。
それでも脚本家ディアブロ・コディが女性だからか、里父親候補の描き方結構厳しいものもあるように思えました。
それでも、概ね女性たちに肩入れしつつも、男女公平に描こうとしていたように思えました。


ジェイソン・ライトマンの演出は軽妙かつ外さず、前作『サンキュー・スモーキング』も膝を叩きたくなるくらいに面白かったのですが、本作も見事。
これが監督2作目とは、先行き益々楽しみ。
ディアブロ・コディとは今後も組んでくれそうなので、いやいや、楽しみな若手が出て来たものです。


里親役ジェニファー・ガーナーも単なるアクション俳優ではない、等身大の女性役を真摯に演じていて、非常に好感が持てました。


小品でもきらりと輝く佳作です。
是非、ご覧あれ。