days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

The Happening


M・ナイト・シャマラン監督・脚本・製作の新作『ハプニング』鑑賞に出掛けました。
14時過ぎからの回は6割り程度の入り。
前作『レディ・イン・ザ・ウォーター』はスリルもサスペンスも無い、自己陶酔ばかり目立った映画でガッカリでしたが、今回も全米批評家酷評。
さて、どうなるやら。


誰もが感心するであろう、序盤の掴みは中々。
突如、人々の行動が常軌を逸し、自殺しまくる。
髪留めを自分の首に突き立てるもの、高層ビル工事現場から続々身を投げるもの、拳銃自殺するもの。
結構ショッキングな描写が続出します。
秀逸なのが工事現場の場面。
手前に人物が居る構図で、いきなり奥にドサッと人が落ちて来ます。
ゆっくりと近付くキャメラ
足が妙な具合にひんまがった、血まみれの死体が。
すると、またドサッ。
ドサッ。
上を見上げると、数人の同僚達が宙を落ちて来る・・・。
他にも自殺に使われた拳銃が、次々と負の連鎖とばかりに、近くに居た者たちも使われて行く場面とか、今回は結構血なまぐさいシャマラン作品です。
iPhoneも惨劇の目撃者として登場します。
今後、iPhoneを使ったホラー映画が色々出て来るかも知れません。


この現象は一体何だ!?
と謎解きのスケールは大きく、また理由無き災厄の波から逃れようと、理科の教師マーク・ウォールバーグとその妻ズーイー・デシャネル、ウォールバーグの同僚ジョン・レグイザモらが脱出を図るというプロット。
なのですが、肝心の謎解きは中途半端なのは良いとして、死に行く者たちの条件に一貫性が無く、また登場人物の描き込みが相当に浅いので、観ていて行動に納得出来ないところがいちいち多いのが難です。
ウォールバーグも常に眉間に皺を寄せて深刻そうな表情の一点張りで、演技の起伏に乏しい。
贔屓のレグイザモも、この程度の使われ方で勿体無いことこの上ありません。
もっと彼の持つ抜群の演技力を使うハリウッド映画があっても良いのではないでしょうか。
ズーイー・デシャネルは、『あの頃ペニー・レインと』の主人公の姉役で印象的でしたが、この人の大きな瞳は魅力的ですね。


随所のサスペンス演出や、じりじりするようなスリルの盛り上げ方などは、『サイン』の頃に戻ったかのようで、技術的には中々高いもの。
こういった辺りは復調の兆しもあるのですが、後は脚本の詰めがもう少し良ければ・・・といったところです。
前半は中々好調だっただけに、後半のやや失速感は惜しい。


面白いのは、クライマクスとして設定されているであろう、夫婦の絆を取り戻す場面。
感傷的過ぎると思いましたが、この死生観はやや東洋的なものを感じたのですが、如何でしょうか。


全米の批評家たちの酷評はちょっと感情的過ぎるのでは。
確かに話しはちょっと難がありますが、これより酷い映画なんて幾らでもある。
シャマランの次回作には期待出来ると思ったのでした。


本編前の予告編は『地球が静止する日』と『X-ファイル:真実を求めて』の2本。
前者はロバート・ワイズの名作SF『地球の静止する日』のリメイク、後者は御馴染み『X-ファイル』映画版2作目です。
後者はともかく、前者はそれなりに期待したいですね。
ご贔屓ジェニファー・コネリーは、またしても不幸の似合う女役なんでしょうか・・・。