days of cinema, music and food

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Hancock


ウィル・スミス主演のSFコメディ『ハンコック』先行上映2日目に出掛けました。
13時45分からの回は、シネコンでも中規模の劇場は7割の入り。
大傑作『ダークナイト』が北米の特大ヒットと関係無しに、日本では興行的に苦戦中。
あちらの暗さとシリアスさよりも、こちらの軽さが受け入れられやすいのかな、と思いました。
でもこちらも後半は余りコメディじゃなくなるんですけどね。


グータラで飲んだくれ、ホームレスのような日常を送っている超人ハンコックは、皆の嫌われ者。
彼に命を助けてもらったPRマンが、恩返しにとイメチェンしてあげようとするが・・・という物語。
ウィル・スミスとPRマン役ジェイソン・ベイトマンの組み合わせ、思わせぶりなベイトマンの妻役シャーリーズ・セロンと、個性と見掛けの組み合わせも良く、特撮アクションとコメディを上手く取りまとめたピーター・バーグの演出も含めて、中々快調です。


イトマンを観るのは、『マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋』、『JUNO/ジュノ』に続いて今年3本目。
売れっ子になっているようですね。
個性がやや薄くとも、ちょっと人の良い、でも人間臭さも程よく持ち合わせているところが、脇役として重宝されているのかも知れません。


スミスは相変わらずの軽妙な、でも少々ナルシスティックな演技ですが、こういう映画には良く合います。
私は彼のファンですが、『アイ・アム・レジェンド』などよりも、こういった軽い娯楽映画の方が彼には良いのではないかと思います。
演技力を見せ付ける映画と軽い娯楽映画に交互に出演しているところも、中々計算高いですね。
大スターとして一時代を築いているのも、そんな頭の良さによるところも大きい気がします。


シャーリーズ・セロンも大好きなスター。
前作『告発のとき』の生活に疲れたシングルマザー役とは少々違いますが、地に足の付いた点で共通しているかも。
スミスに負けない存在感のある彼女の起用は当然で、他にこの役を演じられる女優が浮かびません。


映画は後半になっていきなりの転調を見せ、面白くなりそうな展開になるのですが、ここからが今一つ上手くはじけていない気がしました。
いや、本質的にシリアスなテーマを内包した展開、という目線は悪くないと思うのです。
ですが上手く物語とテーマが、映画自体に消化し切れていない。
これは、終盤に至ってシリアスな展開を見せるにつれ、それまではブラック・ユーモアで済まされた描写が、結構暴力的になり、ばんばん殺人も起きてしまうせいでしょう。
つまりはコメディではなくなってしまう。
暴力や殺人を描くことで何かテーマが浮かび上がって来るのであれば良いのですが、ここでの描写や展開では、そのような役割を担っていません。
脚本家や製作者たちの安易な方策、単なる力不足に感じました。


先に書いた『ダークナイト』もそうですが、まさしくヒーロー受難の時代ですね。
Mr.インクレディブル』が先鞭をつけたか。
予告も流れた『アイアンマン』がどうなっているのか、こちらも興味シンシンです。