days of cinema, music and food

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ジョン・エヴァレット・ミレイ展


『アクロス・ザ・ユニバース』を観た後、ランチをしてから展覧会に行く訳です。
展覧会は昨夏のボストン美術館以来ですか(あう、未だに写真はメモリの中・・・)。
美術品を眺めるのも、本当に1年振りなんですなぁ。


今回の展覧会はBunkamura ザ・ミュージアム
この名前もすっかり馴染んだような気がします。
当初は非難轟々だったような・・・。


さてミレイですが、19世紀に活躍したイギリスの画家。
無論、一番有名なのはチケットやポスターにも載っている『オフィーリア』でしょう。
シェイクスピアの『ハムレット』に登場するヒロインの死を、克明に描いた作品です。
スーパーリアリズムで描かれた大傑作をこの眼で観られるとは有難い。


先日の土曜から始まった展覧会も、平日昼ということで、かなり余裕です。
週末のここはかなり混雑しますからね。
1枚1枚の絵の前に何人か人は居ますが、ちょっと待てば直ぐに間近で観られます。
人気の展覧会はやはり平日が良いですね。


さて展覧会ですが、定石通りにほぼ年代順に並べ、ミレイ自身の画風の変遷も目の当たりに出来ます。
子供の自分から才能に溢れていたようですが、緻密な作風が後期になると粗く、開放的になっていくのが面白い。
私はスーパーリアリズム路線も大好きですが、大らかな風景画も心が落ち着き、気に入りました。


『オフィーリア』はさすがに素晴らしい。
細密これに極まれりと描きこまれた植物の数々。
ドレスは水に沈みながらも、空気を含んで浮かんでいます。
水面に浮かび、恍惚とした表情にも見えるオフィーリア。
観ていて息が詰まりそうになりますが、反面、ある種カタルシスさえ覚えさせます。
緑と金を基調とした色彩も豊か。


火事場から消防士によって助けられた子供たちが、母親に渡される様を描いた『救出』。
左斜め上の赤々とした色彩、右下半分の母親が居る方の落ち着いた色彩。
実際には火災を描いていないのに、火事の恐ろしさが伝わる迫真の絵でありながら、同時に安らぎを与えてくれます。


赤い服が可愛らしい幼女が、教会で説教を真剣な顔で聴く『はじめての説教』。
その少女が居眠りしてしまっている『二度目の説教』。
この2点はユーモアと愛くるしさがあって、印象に残りました。


こうしてみると、ミレイは細密なタッチだけではなく、色も素晴らしいことに気付かされます。
10月末まで開催されているようですので、興味持たれた方は出掛けてみては如何でしょうか。