days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Iron Man


ようやっと日本公開された『アイアンマン』初日に駆け付けました。
最寄シネコン最大の小屋は20〜30人程度の入り。
全く残念です。
何故なら本作は、近年公開された「単純明快でスカッとするヒーロー映画の非続篇もの」として、最高の出来栄えだからです(『スパイダーマン2』も素晴らしい出来でしたが、あれは続篇ものでしたので、ここでは「非続篇もの」としました (^^;)。


ダークナイト』という、混沌とした暗黒世界をリアリズムで描いた傑作もありました。
あちらに比べて、こちらは明るいのが身上です。
親の遺産で若くして億万長者となり、兵器会社の社長であり、稀代の天才発明家トニー・スターク(ティーンエイジャー時に撮ったという、若き日のビル・ゲイツとのツーショットも笑わせます)。
プレイボーイで派手好き。
ハワード・ヒューズをモデルとしたと思しき人物像が面白い。


世界の中心に自分が居ると錯覚していそうな中年主人公が、アルカイダらしきテロ組織に捕らえられ、テロ組織用兵器を作るよう強要されます。
そこで彼は自分が売りさばいた兵器がテロ組織に使われているのを知ります。
心臓近くに重症を負い、人口装置無しに生きられなくなったトニーは、ミサイルを作っていると思わせて、時代遅れのロボットのようなゴツい外見のパワード・スーツを作り上げます。
命からがら脱出したトニーは、より洗練されたスーツを作り、アイアンマンとしてテロ組織と戦うことになります。


アメリカ経済における軍産複合体とか、社会派的視点は殆どありません。
しかしアメリカが作って売った兵器によって、テロ組織を強化している皮肉を娯楽映画で描いたのは珍しい。
シリアナ』という硬派な佳作もありましたが、こちらは観客を喜ばせる為の映画です。
ハリウッド映画の間口は本当に広い。


テレビで稲垣吾郎ちゃんがこの映画をいたく気に入り、「僕もアイアンマンが欲しい。アイアンマンになりたい。」と言っていましたが、私も同じ感想を抱きました。
前半で時間を取って描かれる、アイアンマン開発工程のわくわくする楽しさ。
後半での数々の活躍場面。
飛翔場面の高揚感、アクション場面の爽快感。
初代であるゴツいマーク1も良いし、洗練されたマーク2及びマーク3開発も、数々の実験失敗をユーモラスに描きながら、ものを作り上げる楽しさや喜びが伝わって来ます。
いや、何よりも観ていて本当に楽しい!


これはトニー・スターク役ロバート・ダウニー・Jrの個性と演技も大きいと思いました。
40歳過ぎても茶目っ気たっぷり、人生を楽しんでいて、目立とう精神が消えない軽さが、過去の清算と苦悩というテーマすら深刻にさせません。
いや、これは褒めているのです。
苦悩するヒーローばかりではなく、こういう映画も観たいのだから。
トニー・スタークは彼にとっても一世一代の大当たりの役なのは間違いありません。


彼の有能且つ忠実な秘書ペッパー・ポッツ役グウィネス・パルトロウは久々お目に掛かりましたが、こちらも良かった。
品がある現代企業の執事といったところでしょうか。
目立たず目立つ役どころで、登場すると画面にふんわりとした色気と清々しさを漂わせていました。
コメディ演技はダウニー・Jrが引き受けているのですから、彼女も柄ではないお笑い演技を披露しなくて済んだのも良かったのでしょう。
このカップルは良い組み合わせです。
余り好きな女優ではないのですが、私としては『恋におちたシェイクスピア』と並んで好きな役となりました。


トニー・スタークが幼いときから面倒を見ていた共同経営者役ジェフ・ブリッジスは、ちょっとびっくりのヒゲ面&スキンヘッド。
こちらも楽しそうにアヤしい役を軽妙に演じていました。
ご贔屓テレンス・ハワードは、次回作で活躍してくれるかも知れません。
トニーと寝てしまう美人ジャーナリスト役のレスリー・ビブ
はて、どこかで観た顔だなと思っていたら、『タラデガ・ナイト オーバルの狼』でウィル・フェレルの悪妻役が可笑しかった人でした。
本作ではまるで雰囲気も違います。


カッコ良いアイアンマンの製作は、先日亡くなったメイクアップ・アーティストのスタン・ウィンストンによるもの。
彼の遺作は、出世作の『ターミネーター』同様にロボットものの系譜に繋がる作品となったのが、偶然とは言え何かの縁を感じさせます。
アカデミー賞メイクアップ部門に初ノミネートされた作品も、ロボットメイク作品でしたからね。


原作者の1人であるスタン・リーも登場するマーヴル映画ならではのお楽しみは、エンドクレジット後にも続きます。
が、アメコミを知らないとちょっと意味が通じないかも。


大爆笑間違い無しの、ヒーローにあるまじき爆弾発言でバッサリ終わらせてしまう映画センスも良し。
ザスーラ』も楽しかったジョン・ファヴローの軽快な演出も良いし、2010年公開が決定した続篇も楽しみです。
願わくばトニーには軽薄なままで居てもらいたいものです。


これさえ置けば、あなたもトニー・スタークの気分!!

マーベル アイアンマン等身大フィギュア

マーベル アイアンマン等身大フィギュア


・・・それは大き過ぎるというのであれば、こちらをどうぞ。

マーク1のフィギュアも来年早々に発売されるみたいですね。


ところで、劇中でトニーが乗っているのが、アウディのR8という新車スポーツカー。
アウディ・オーナーとしては楽しかったのですが、他にも目立つ場面でアウディが登場していました。
結構露骨なプロダクト・プレイスメントでしたねぇ。
ここのところ元気のあるアウディの宣伝攻勢といったところでしょうか。