days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Young@Heart


3連休初日の土曜日、『ヤング@ハート』夕方からの回を観に、近所にあるシネコンの1つに出掛けました。
TBSラジオ『ストリーム』にて町山智浩が紹介していて、俄然興味を持ったドキュメンタリです。
いきなりの日本公開で少々驚きましたが、町山智浩も偉いし、配給元のピックスも偉い。
素敵な映画をありがとう!


最近観た映画の中で、一番「観て良かった」と思える作品でした。
そして上映中の間、「これは私が観たことのある映画で、一番”ロックしている”映画だぞ」と思って観ていました。


マサチューセッツ州を拠点にしているヤング@ハートは、平均年齢80歳のコーラス・グループです。
曲目がトーキング・ヘッズジェームス・ブラウンザ・クラッシュレディオヘッドソニック・ユースボブ・ディランと、ロック、パンク、ハードロックの類いばかり。
メンバーはかなりの高齢者ばかりですから、足が悪い、ロックの騒音に思わず耳を塞ぐ、歌詞が中々覚えられない等は当然です。
ですが、彼らがロックを歌うとき、本当にロックしているのです。


ロックとは何か、とは常々よく言われますが、私自身の解釈では「反抗している、突っ張っている、心に怒りを溜めている」などといったイメージです。
単純に世の中に迎合せず、鵜呑みにせず、心の中のもやもやを叫んで吐き出す。
これがロックでしょう。


この映画に登場する老人達はそう。
生を謳歌する若者の叫びを歌った詞を老人が歌うと、生への渇望となります。
死への抗いこそ、究極の反抗。
意味が全く変わって来るのに気付いた瞬間、観ていて感動が訪れます。
老い先短い(実際、この映画の撮影中に中心メンバーの何人かは亡くなってしまいます)彼らにとって、生とは逆に生々しいものでもあるのです。
それは逆に言えば、彼らの生が充実して輝いていることの証しでもあります。
ヤング@ハート』は、生の輝きを写し取った、稀に見る美しい映画でもあったのです。
そして歌とは歌い手によって、同じ歌でも意味がまるで違って来るということに気付かせてくれました。


彼らは本当に若い。
いや、老人だからシワシワだし、背中はまがっているし、眼は悪く、記憶も悪く、歌詞用紙を持つ手だって震えている。
呼吸器の音だってコンサートのマイクに拾われてしまう。
でも、慣れ親しんだクラシックなどに留まらず、新しい歌を受け入れ、歌っているところが本当に若い。
外見の若さばかりに拘ることの愚かさとは正反対です。


これは素晴らしい瞬間が幾つも訪れる映画です。
もう上映は終わってしまうようですが、DVDが出たら鑑賞されることをお薦めします。

ヤング@ハート−オリジナル・サウンドトラック(ライヴCD付2枚組)

ヤング@ハート−オリジナル・サウンドトラック(ライヴCD付2枚組)


パンフレットを買ったら、この映画を扱った全米レヴューの中に、ワシントン・ポストスティーヴン・ハンターの名前が。
『極大射程』などのボブ・スワガー・シリーズのハンターが、元々同紙の映画評論家だったことを思い出させてくれました。
パンフレットは後でじっくりと読ませてもらいましょう。


ところでワーナーマイカルでは、新しくキャラメル&プレッツェルのポップコーンを売り出しています。

買って持ち帰って来て食べたところ、甘じょっぱくて私好み。
普通のキャラメルポップコーンよりも相当濃厚で、プレッツェルのしょっぱさも味わえて美味しい。
どちらも大好きな方にとっては、ちょっとした豪華スナックでしょう。