days of cinema, music and food

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WALL・E

WALL・E/ウォーリー』字幕版を観て来ました。
昼の回での字幕版は六本木くらいしかやっていないのですよね。
なので久々六本木まで出向きました。


さていきなりですが、これはかなり良かった。
ピクサー長編作品は全て劇場で観ていますが、これは同社の最高傑作ではないでしょうか。
無声映画もかくやの見事なパントマイム劇が始まると、ゴミの山を処理するロボット、ウォーリーの作業の様子がユーモラスに活写され、画面に目が釘付けになります。
彼の微笑ましいコレクター振りも面白く、これらの描写だけでもあと10分くらいあっても十分持ったのではないでしょうか。
人が居ないのに故障しないのか、との疑問への回答もちゃんとさりげなくされており、丁寧なSF映画なだけではなく、丁寧な映画そのものであることが早々に分かり、安心して作り手に気持ちを委ねることが出来ます。


ロケットと共に降り立った最新鋭ロボット、イヴに一目惚れしたウォーリーには、多くの人が共感することでしょう。
目元がスクリーンで表示されるイヴの描写も、ウォーリーと違ったパターンの感情表現にも関わらず、しっかりとされており、この可愛らしいカップルの行く末が気になってきます。


やがてウォーリーの冒険劇が始まるのですが、これがいきなりディストピアSFへと変貌。
大爆笑間違い無しの場面が続くのですが、さぁここからは息も付かせぬスリルと笑いと感動の娯楽大活劇となります。
特にSF映画ファンには大受け間違い無しの場面が続出。
いや、そうでなくともハラハラドキドキ、大笑いで楽しめるのでしょうが、これだけ意識される『2001年宇宙の旅』は、やはり偉大な作品だと実感しました。


ピクサーのアニメーション技術は非の打ち所がありません。
無機物であるロボットたちに、台詞を与えずとも活き活きとした感情表現を持たせています。
絵としても美しい場面も多く、特にウォーリーがロケットに掴まって星屑の川に手を入れる映像が気に入りました。
また、大御所サウンドデザイナー、ベン・バートによる音響は素晴らしい。
この人はやはり、SF・ファンタシー系の映画が良いですねぇ。
細かな音から派手な大音響まで、劇場のサウンドシステムを縦横無尽に使いこなしています。


上映時間は1時間半強なのですが、頭から尻尾まで餡子がたっぷり入った娯楽作品の傑作。
劇場で観て本当に良かったと思える映画でした。