days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Defiance


近所のTOHOシネマにて『ディファイアンス』を鑑賞しました。
公開2日目の日曜13時からの回、シネコンの小屋は5割くらいの入りでしょうか。


第二次世界大戦にて、ドイツ軍侵攻下の旧ソ連ベラルーシを舞台に、両親を殺害されたビエルスキ4兄弟が森に逃げ込んだユダヤ人を結束させ、時にドイツ軍相手に戦い、戦争終了まで隠れ住んでいたという実話を基にしています。
こんな話しがあったとはまるで知りませんでしたが、生き残る為にとにかくタフな彼らが凄い。
雪降り積もる森の中、丸太小屋で家や学校を建て、近くの農家から最低限の食料を強奪し、ひもじさと薬不足と寒さの只中で生活している。
コミュニティは終戦時には1,200人もの規模にまで膨れ上がっていたそうですが、よくぞあんな場所で生き残っていたものだと驚きました。


リーダー格の長男役ダニエル・クレイグは、コミュニティを存続させる為には冷酷にもなり得るという男を好演していました。
甘さの少ない、ハードな役を得意とするだけに、周囲にも厳しく、自分にはそれ以上に厳しいという役柄が似合っていました。
最近のクレイグと言えばジェームズ・ボンド
そのイメージだったので観ていて意外だったのは、リーダーであっても時に悩み、ときに立ち尽くすこともある役だったこと。
クレイグは007以降も、単にカッコ良い役だけをする役者には成り下がっていないようです。
また彼の悪役も見てみたい気もします。


次男役リーヴ・シュライバーは、兄と衝突し、独自の道としてソ連軍に参加して武闘派になる役。
中々の好演だったと思います。


三男役ジェイミー・ベルは人の良く、最初は強い兄達に埋もれがちだったのに徐々に逞しくなって、子役の四男を守ったり、時にはリーダーシップを取るようになったりで、こちらも良かった。
兄達に負けない大役をきちんとこなしていました。


エドワード・ズウィックという監督とはどうも相性が悪いのですが、今回もそうでした。
ラスト・サムライ』、『ブラッド・ダイヤモンド』と、テーマも娯楽も兼ね備えた作風は今回も変わらず。
しかしどうも生真面目が過ぎるのか、もっとメリハリが欲しかった。
終幕などはもっと盛り上がる可能性がある展開だっただけに、惜しいように思えました。


今年のアカデミー賞にもノミネートされている、ジェームズ・ニュートン・ハワードの楽曲は、ヴァイオリンの音色が良いと思いつつ、メロディラインの弱さもこの人らしい。
画面を支える意味ではちゃんと映画音楽作曲家としての仕事はしているのですが、もう一押しが音楽として欲しい。
ハンス・ジマーと組んだ『ダークナイト』では、メロディを廃していて、それが効果的でありましたが、今回は題材からしてもっとメロディが前面に出ていて良かっただろうに。
いつも勿体無いと思ってしまう作曲家なのですよね。


エンド・クレジットを見ていたら、ジョディ・メイの名前を見付けました。
ラスト・オブ・モヒカン』で殆ど台詞の無い次女役を演じていた彼女も、こうやって映画に出続けていたのですね。
本編ではまるで気付きませんでしたが、ちょっと嬉しくなったのでした。
あちらも好きな映画ですので、高画質リマスターでBlu-rayが出ないかなぁ。


原作本はこちら。

ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟

ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟

同じく兄弟を題材とした本も出ています。
ビエルスキ・ブラザーズ―無名の三兄弟が演じた奇跡のユダヤ人救出劇

ビエルスキ・ブラザーズ―無名の三兄弟が演じた奇跡のユダヤ人救出劇

全く知らなかったのですが、ビエルスキ兄弟の名が知られるようになったのも、近年になってからのようですね。
実際に戦争を体験した人は、中々口を開かないから、というのもあるのでしょうけれども。