days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Australia


急遽、週の中日に有給を取って遊ぶことにしました。
先週末から公開されている『オーストラリア』を観に行ってきました。
朝10時前からの回は10人程度の入りです。


英国貴族夫人が夫の後を追ってオーストラリアに来るものの、夫は1,500頭もの牛を軍に売るという志半ばにして殺されていた。
妻は後を引き継ぎ、カウボーイと最初は険悪なもののやがて恋に落ち、ライヴァルの放つ数々の妨害にもめげず、果たして牛を運べるか。
…といった筋です。


ニコール・キッドマンヒュー・ジャックマンという、大好きなオーストラリア出身俳優が主演だし、監督は傑作『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマンだ。
これは観ない訳にいかないでしょう。


さて最初に映画が始まって思ったのは、
「これが70mm撮影、70mm上映だったら良かったのに」
ということ。
やたらと豪州の大自然や大地を空撮で撮る画面が多いので、70mmフォーマットだったらきっとさらに映えた筈。
私が最後に観た70mm撮影&70mm上映の『遥かなる大地へ』では、冒頭の空撮場面からして「おぉ〜」と思ったものですからね。
70mmという大型フォーマットの持つ高画質性能がもの凄い立体感を出していて、かなりびっくりしたものです。
どちらもニコール主演作の大作ロマンス映画ですな。
まぁ、そんな訳でやたらと豪州の雄大さを強調する映像が多いので、ちょっとした観光映画の趣もあります。


しかし映画として観れば、これがそんなに出来は宜しくありません。
とにかく長い。
2時間40分強の上映時間ですが、これは2時間に収められる内容でしょう。
冒頭の美男美女のサイアクの出会いと、そこにおけるニコールの大袈裟コメディ演技など、『ムーラン・ルージュ』の狂騒的な序盤に近い、とまでは言いませんが、笑わせ、結構テンポも良いのですが、それからは結構ゆったりと進みます。


いや、テンポ自体はそんなに悪くありません。
しかし終わるかと思ってまだまだ延々続く展開は、クライマクスに日本軍空襲という派手な見せ場を用意したいが為でしょうか、そこに行き着くまでも長い。
祖国への愛情と美男美女のロマンスを絡ませるのであれば、もっと内容を刈り込んでも良い筈。
内容を詰め込み過ぎて、印象が薄まってしまっています。


アボリジニーの描き方はかなり神秘的になっていて、やはりこれは白人の作った映画だと思わせます。
近年になるまで彼らを迫害して来た負い目もあるのでしょう。
遠慮も感じられます。


主演の長身美男美女の2人は大画面映えするし、徹頭徹尾悪党役のデヴィッド・ウェンハムは楽しませてくれます。
正直に言って、ラッセル・クロウでなくて良かった。
彼が降板したお陰でお鉢が回って来たヒュー・ジャックマンは、ニコールとの相性も良い。
クロウも土臭くて男臭いカウボーイ像を別のアプローチで表現出来たとは思いますが、ロマンチックな役が出来たかどうか。
白タキシードでの再登場場面など、ジャックマンの独壇場になっています。
若い頃のクリント・イーストウッドに似ているジャックマンが、イーストウッド同様に土臭い役が似合うのも面白い。


ただ、ラーマンの演出も大味なので、ニコールもジャックマンも、演技も大味なのがちょいと勿体無かったです。