days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Transformers: Revenge of the Fallen - The IMAX Experience


元々午後半休してラゾーナ川崎に行くつもりが、起床早々に軽いぎっくり腰。
よつば鍼灸接骨院に行ってから、車で川崎まで出掛けました。
目当ては109シネマズ川崎で始まったアイマックス・デジタル上映です。


フィルムでのアイマックスは幾度と無く楽しませてもらっていました。
無くなってしまった新宿アイマックスシアターはそれなりに出かけましたし、バンコクでも盛んだったのに驚いたりしましたが(バンコクの様子かこちらに軽く書いています)、デジタル版は初めて。
こちらは高輝度DLPプロジェクターを2台使用し、音声もリニアPCM
今日の映画はフィルム撮影ですから、それをデジタルに変換しての上映となります。
映画館に着くと、至る所に「IMAX」のロゴがあります。
劇場側の本気度が伺えますね。


IMAX対応シアターとなった7番スクリーンに入ると、まず目立つのがスクリーン。
天地いっぱいに張られた様子は壮観です。
場内はシネコンらしく、傾斜のあるスタジアム式ですから、前席の人の頭部が気になることもないでしょう。
月曜昼間なのに場内は7割の入りですから、結構人気があるようですね。
但し観客の殆ど、8割は男性。
中にはIMAXを確認しに来た人もいたようです(私もか)。


上映が始まると、まずはIMAXのデモ。
カウントダウンとシステム・チェックを模した映像と音響が劇場内を埋め尽くします。
私の座った席はほぼ中央なので、視野の8割は画面で占められます。
一見して、デジタルならではの高細密なディテールに目が行き、切れ良いサウンドに耳が行きます。
これは期待出来ます。


本編の前の予告編は1本のみ。
ハリー・ポッターと謎のプリンス』英語版予告編でした。
最初は日本語字幕が出ないので、「あれ?日本語データが乗せられていないのかな?上映ミス?」と思ったのですが、この予告編自体がIMAX版なのですね。
暗い画面が多いのに暗部階調ばっちり。
こりゃIMAX 3-D版で観たいかも。


本編が始まると、フィルムテイストがありながらフィルム上映ではない高解像度に目が行きます。
細かく描かれたロボットたちだけではなく、俳優も含めての立体感はさすがに凄い。
全体に派手な色あいでCGIが多用された映画なので、デジタル上映にぴったりというのもありましょう。
そして音響。
切れ味鋭い高解像度でありながら聴き疲れすることなく、高域から振動が伝わる低域まで、スピード感も満点。
今まで聴いた劇場の音響でトップに入ります。
これは劇場ならではの体験ですね。
映像、音響も含めて、体験出来る最上の上映環境なのは間違いありません。
こうなるとIMAXの為にここの劇場に通っても良いなぁ、と思いました。


あ、そうそう、映画ですね。
トランスフォーマー:リベンジ』でした。

何は無くともマイケル・ベイ
前作『トランスフォーマー』はてんで映画としての出来は良くなかったものの、意外に楽しめる点で、彼の映画にしては我ながら珍しく嫌悪感を抱かなかったのですが、さて今回はどうか。


私は劇場で映画を観る際、基本的に期待を抱きます。
マイケル・ベイのように映画監督としてまるで才能の無い三流監督であろうと、事前に批評などで悪く書かれていようと、それでも何か楽しませてくれるだろう、と期待します。
でこの監督の場合、ほぼ毎回ダマされるのですが、数年前に友人に言われたのが「ダメなのを確認しに観に行っているのでは?」ということ。


いやはや、今回もロクでも無いベイのダメ映画フィルモグラフィーの系譜に入る作品でしたね。
ここまでダメな映画は、ベイの『パール・ハーバー』か、あるいはベイの『バッドボーイズ2バッド』以来なのでは。
ドラマを描けず、アクションを描けず、物語を語れない2時間半、最初から最後まで常にカメラは動き続け、何かがボカンボカンと爆発し、意味の無い下ネタがあり、と騒々しく、またせわしないのですが、何しろ無駄が多過ぎる。
そのショットに意味は無くとも、一見するとカッコ良く見える映像を撮る才能だけはある、という典型的なMTVもしくはCF出身の監督らしく、派手な映像をひたすらごてごて並べ立てます。


しかし話も殆ど無いに等しいのだから、せめて1時間半の映画でしょう、これは。
ホラー趣味のアーレン・クルーガーが脚本を書いているので、ちょっとそのテイストもあるものの、展開も何もあったものではありません。
え?世界各地にアメリカ軍が乗り込んでドカンドカン撃つのは良いのかって?
いくら能天気な映画であっても、そんな露骨な描写だとドン引きしてしまうよ。
下手糞な編集で醜悪な脂肪のごとき飾られた無意味な場面や描写の数々、延々続くアクションではなくいつ終わるとも知れぬ破壊場面の連打。
最後のエジプトの場面なぞ1時間もあり、いい加減欠伸が出ましたよ、わたしゃ。
ここって、シャイア・ラブーフが死んだオプティマス・プライムを蘇らせようと、敵の攻撃をかいくぐりながら向かうのが主題ですよね?
でもベイはそれだけじゃ満足出来ないようなんです。
あれこれゴチャゴチャ複数同時進行で迫力を盛り上げているつもりで、ただただ展開が不必要にノロくなって、緊張感も何も無いのです。
映画の展開や、人物の心理をすくいとって適切に映像に移し変えるのが監督の最大の役目の筈。
その点で、ベイがてんでそういったことに才能も興味も無いのは明らかです。


ベイがアクションを描けないのは今に始まったことではなく、『ザ・ロック』の頃からそうですが、今回も相変わらず緊張も盛り上がりも無く、ひたすら目まぐるしく物が壊され、必要以上に惨たらしくロボットが惨殺されます。
1ショットだけ見ると壮観な映像もあるのですが、映画は編集なのです。
ただただロボット同士が殴りあっているのを、ぐらぐら動くクロースアップで見せられても、迫力も緊張も沸きません。
この人のアクションが詰まらないのは、例えば『パール・ハーバー』中盤の40分にも及び真珠湾攻撃の場面もそうなのですが、物語を進める律動にはならず、ドラマを描く手段ではなく、単なる破壊だけだから。
しかもそのアクション・シークェンス自体にも展開が少ない。
この人、やはりアクションに興味は無く、破壊に興味があるだけの人なのですね。


今回は登場人物も感情移入出来ず、主人公の両親を巡る笑うに笑えないギャグも滑りまくって鬱陶しいだけ。
スティーヴ・ジャブロンスキーの音楽も打ち込み主体に変わっており、こちらも詰まらなかったです。


前作を派手に拡大再生産しただけで中身スカスカな駄作。
スティーヴン・スピルバーグが「これは君の最高傑作だ」とベイに言ったそうですが、ベイのロクでもない映画の中でマトモという意味だったのか、それとも本気で誉めたのか、外交辞令だったのか、是非スピルバーグ本人に確認してみたいもの。
残酷趣味こそ共通するものの、ベイとスピルバーグでは、監督としての資質は雲泥の差ですよ。


やっぱりマイケル・ベイの映画には、凡作と駄作しかないようです。
映画が終わった後には徒労感しか残りませんでした。