days of cinema, music and food

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Taken


リュック・ベッソン製作&脚本、リーアム・ニーソン主演のフランス製アクション映画『96時間』を観に行って来ました。
金曜レイトショウ、シネコン内の大劇場は20人程度の入りでしょうか。


「パパ、ご乱心」
そんな映画は中々楽しめるものでした。


映画はまず、元CIA工作員だったブライアンのやや極端な子煩悩振りを描きます。
離婚した元妻のファムケ・ヤンセンは富豪の夫ザンダー・バークレーと再婚し、17歳になる娘は何不自由無く暮らしています。
娘は友人とパリ旅行に行きたいと言いますが、「外国は危険だぞ」と最初は反対。
しかし折れて許可を出します。


ここまで30分。
やや面白みに欠ける演出は仕方無いのかも知れませんが、ニーソンの演技は説得力があって私はそれなりに楽しめました。


アーパーな友人の不注意な言動により早速パリにて良からぬ連中に目を付けられ、誘拐されます。
「娘を取り返さねば」
怒りと執念により、父は特技を生かして現地で娘1人の命を救う為に、殺しまくります。


とにもかくにもこの映画の見所はリーアム・ニーソン
アクション映画のイメージが無い彼が、スティーヴン・セガールばりの格闘技と銃撃、カーチェイスを披露するという役なのですから、衝撃度が大きい。
切る、刺す、撃つと次から次へと殺しまくり、敵を捕らえて拷問したり、何の関係も無い人妻を撃ってその夫の口を割らせたり。
余りにあんまりなので、笑ってしまう箇所が幾つもありました。
次にニーソンは一体何をしでかすのか、という期待が、この映画の原動力となっています。
これは脚本から生み出されたものではなく、1人の役者から発生したもの。
非常に興味深いものです。


リュック・ベッソンのヨーロッパコープの映画を観るのは初めてです。
ベッソンという人自体、初期の『グラン・ブルー』や『ニキータ』は好きだったのですが、幼児的ナルシシズムに溢れた『レオン』以降は嫌いになっていましました。
でもこの映画は面白かった。
荒削りでご都合主義の展開も目立つし、如何にもアメリカ人が喜びそうなエサも目立ちます。
アメリカが最終的にアラブをやっつけるなんて展開はその最たるもの。
96時間内に見つけないと娘の奪還は不可能という、というタイムリミットも生かされていません。
強烈な時間サスペンスに欠けます。
映画としての出来は別に傑作でも何でも無いでしょう。
それでも、安手だけれども観ている間は面白いB級娯楽アクション映画として、私はしっかり楽しめました。


ただカーチェイス場面が手ブレ接写の細切れ編集で、何が何やら分からなかったり(その場面がノイジーなのは、HD撮影だったからのようです)、格闘アクションもショットを繋ぎが今ひとつだからか、『ジェイソン・ボーン』シリーズのような凄みまで行かず。
それでもニーソン大暴れのスカッとする映画として、これは結構な拾いものなのです。
リーランド・オーサーが珍しく善人&死なない役だったのも意外でした。


それにしてもこのヴァイオレントな映画が、北米ではPG-13とは少々驚きました。
その理由が「Rated PG-13 for intense sequences of violence, disturbing thematic material, sexual content, some drug references and language. 」となっていますが、前述したようにかなり暴力的な内容。
どうやら北米劇場公開版はカットされているようです。
IMDbによると、劇場版は「cut version」、DVD版は「uncut version」となっています。
日本での劇場公開版はアンカット版の可能性が高いと思いますが、さてどうでしょうか。