days of cinema, music and food

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ホームシアター建設記(その2)〜アークス白須さんとの出会い・設計変更・シアター工事編


土地も住宅メーカーも決まったので、今度はホームシアター・ショップ探しです。
東急ホームの設計担当はSさんという方で、この方は非常に優秀な方で助かりました。
その後昇進して、どこぞの展示場の店長をされているようです。
Sさんにホームシアターは専門業者に任せたいと言うと、快く応じてくれました。
むしろ門外漢なので、その方が助かる、と。
しかしホームシアター・ショップと共同作業をした事は無いので、何度か打ち合わせ等しなくてはならない、とおっしゃいます。
それも当然でしょう。
ということで、早速ホームシアター・ショップ探しです。


当時は『HIVI』や『AV Review』などといったAV専門誌や、各誌の別冊的扱いのホームシアター専門誌も購入し、色々と勉強はしていました。
また、『長岡鉄男のスーパーAV』という、故長岡鉄男ホームシアター方舟建築記も興味深く読んでいて、自分なりに色々と思い描いていました。
この本は面白いだけではなく、色々と勉強になりましたね。

長岡鉄男のスーパーAV―ホームシアターをつくる

長岡鉄男のスーパーAV―ホームシアターをつくる

絶版のようですが、見かけたら手に取って見ることをお薦めします。


さて前述した専門誌の施工例の内、気に入った例はどれか付箋を付けてみると、幾つかに絞られます。
そこで付箋の数が一番多かったのが、アークスの白須さんが請け負ったものでした。
無骨さとは違う、上品なインテリアに目が行きます。
実際に何店舗かお店を回ってみましたが、こちらの希望を幾つかと予算を言うと、理想的な話ばかりで実現性はどうなのか分からない業者も居た中、白須さんだけは出来ること、出来ないことをはっきりおっしゃってくれました。
その時点でこちらにお任せしようと決めました。
東急ホームとの作業はしたことは無いけれども、2-3回打ち合わせれば問題ないでしょうとのこと。
それから、当時吉祥寺にあったアークスのシアターも上品なインテリア、且つLDから出る迫力満点の画と音で感動したというのもあります。
初めて伺った際に、付箋付き専門誌だけではなく、『長岡鉄男のスーパーAV』も持って行ったのですが、実は白須さんは長岡門下生だと知ったのは後年のこと。
白須さんは『スーパーAV』を見ても、眉ひとつ動かしませんでしたが(笑)。
打ち合わせの際は思い出話などせず、プロに徹する姿勢というのが、後になってよく分かったのです。


白須さんへのこちらの要望は次の通りだったかと記憶しています。

  1. 予算内に可能な限り収めること
  2. ハイCPを狙うこと
  3. 出来るだけ画面を大きくすること
  4. 現在のシステムを出来るだけ流用すること


結果的には上記は全て守られていたのでは、と思います。
また、こちらの予想以上の部屋を作ってもらえて満足しました。
私の場合は、この方にならお任せ出来る、というインストーラーと知り合えたのが大きかったですね。
この点は大事かと思います。


さて家ですが、ホームシアターの枠(外壁・床含む)は東急ホームが担当。
ホームシアターの内部は全てアークスが担当、ということになりました。
但しシアター内の壁紙・カーテンは、東急がアークスの指示通りに施工することになりました。
これもまた、後々細かいところで指示通りでなかったりでトラブルが起こりますが、結果的には問題無く納品されています。
家作りにはトラブルは付き物。
壁紙やカーテンなどは些細なことなのです。


シアタールームは16畳の面積。
しかし壁面が二重構造なので実際には14畳になります。
窓ははきだしの1つのみ。
出入り口は窓と防音ドアのみとなります。
視聴位置後ろ側にあるはきだし窓側から、スクリーン設置予定の壁面までは、微妙に狭くなっています。
これは並行面を無くして定在波を減らすため。
左右壁面は柱のような構造体が出ており、これも並行面を減らすための工夫となっています。
映画ファンの私のため、柱の間には照明が付けられ、映画のポスターを貼って映画館の雰囲気を出すことも可能です。
照明の雰囲気が素晴らしかったので、ポスターを貼るのは今のところ実現していませんが、何も貼らないすっきりした現状で満足しています。


1つ気になるのは、窓が防音でないこと。
白須さんに言うと「大丈夫でしょう」とあっさり。
大音量にしても、お隣さんまでは部屋の各面から10メートルは離れているので、騒音にはならないとのこと。
第一、防音窓にするとそれだけで40万円くらい飛んでしまう。
防音窓は将来必要があったら、ということになりました。


システムは出来るだけ現状のものを流用する、ということになりました。
白須さんはアークス製スピーカを薦められましたが、この記事で書いたようにスピーカは思い出のプレゼントですから譲れません。
しかしこれが後々縛りにもなってくるのではありますが。


4月に正式に東急ホームと契約してからは、ほぼ毎週末は東急のSさんと打ち合わせです。
これが大変という人もいるでしょうが、私たちは楽しかったです。
色々と要望を出し、向こうが提案を返し、どんどん決めて行きます。
兎に角どんどん決めないと、決めなくてはならないことが山のようにあるので進みません。
お互いに悩む点については宿題となりますが、それ以外はその場で即断即決になります。
こうして見ると、大きな買物をしたというのに、結局はその場の決断に左右されることも多い。
だがまぁしかし、うじうじと悩んでいても意味も無いので、決められることはさっさと決めてしまいましょう。
大事な点で中々決められないことだけ悩めば良いのですから。
妻だけで決める、夫だけで決めるという家庭もあるそうですが、そうなると大変でしょうが。
やはり妻と2人で決められたから、即断即決三昧が出来たのだと思います。


さて実際の建築開始は7月下旬。
平日は会社なので、観に行くのは殆ど週末に限られます。
何度か平日夜に見に行ったこともありますが、明るい陽の光の下で見られるのは週末のみ。
土地に線で家の形が描かれるとわくわくする…どころか、「こんなに高額なお金を出すというのに、こんなに狭い家なのか」とがっかりしました。
但し実際に出来上がるとそう思わなかったので、あれは目の錯覚か、と今でも不思議に思っています(トップ写真)。


さて白須さんとは殆ど連絡無し状態が続きます。
実際に施工開始になるのはまだ先なので余裕があるからです。
地下シアターは建築費用がべらぼうに高くなるとSさんに言われて断念。
よってホームシアターは正面から見て1番左の1階の部屋が割り当てられました。
はきだし以外は窓が無いので、無窓の大きな壁面があるという、珍しい家になっています。

この部屋が家の中で1番広いものとなっています。
1繋がりになっているリヴィング、ダイニング、キッチンは広く見えますが、実際には各区画はそれぞれ大して広くありません。
しかしシアタールームは完全に独立した部屋。
これだけ広ければ友人ら10人くらい呼んで映画も観られるでしょう。
天井は他の部屋と同様の高さになる予定ですが、屋根の頂点は家の真ん中ではなく、正面から向かって右側の居間の上に位置する変形の家となっています。
つまりはシアター上の屋根の大きな斜面部分と天井の間には居住空間が無いので、ただの空間になります。
ここは物置にでもしようかと思っていました。

しかし9月になってから、徐々に構造体が組み上がっていくに連れ、その空間が勿体無い気がしてきました。
図面を見て考え込んでしまいました。

そこで白須さんに連絡し、屋根近くまでを天井としてくれるよう、設計変更依頼を出しました。
ただ気がかりなのは、左右対称でないので、音の響きがアンバランスになるのではないか、という点でした。
しかし白須さんが言うには、「天井が高くなり、むしろ対象でないので床からの並行面が無くなる分、響きには有利」とのこと。
この変更のお陰で無窓でも広々と開放的な見栄えと音の響きになったと思います。
この決断もして良かったです。


段々と家が出来てきました。

この巨大面積の斜面に素焼きの屋根瓦が大量に乗っかり、かなり迫力のある家になりました。
尚、瓦は昔のと違って重さはスレートと余り変わらない、という説明でした。
1番左側の部屋がシアターになります。

正面から見たシアター奥の壁面。

当初は写真真ん中ら辺にある部分が天井予定でした。
2階から見たシアター部分。

結構天井は高いです。


最終的には屋根よりも若干低い位置が天井となりました。
屋根と天井の間に若干の空間が出来た訳です。


工期が真夏だった事もあり、窓が入るまでの間は1度しか雨が降らなかったのは幸いでした。
屋根や窓が無い状態で雨に降られると、当然ながら雨が家の中に入ってしまい、木材を濡らします。
梅雨の時期だったら目も当てられないことだったでしょう。


10月になり、いよいよ白須さんの登場です。
外壁となる部分がほぼ出来上がったので、シアター部分の内部をアークスが手掛ける訳です。
二重構造の手前部分やケーブルを通す配管などが入りだします。

外壁とシアター内壁部分には断熱材が大量に投入されます。
これでがっちり防音・遮音をしてくれる筈です。
10月半ばになると、断熱材もほぼ投入完了し、屋根の下に天井の枠組みが出来始めます。

枠組みの間から屋根裏が見えるのがお分かりでしょうか。
最大1メートルほど、空間が出来るようです。
10月18日になると、材料で物凄いことになっています(笑)。

天井にちらり見える灰色のダクトは換気扇用のものになります。
ケーブル類を通す配管も見えますね。


11月になると、壁面がほぼ出来上がりました。

その約10日後、壁を叩いて何やら確認する私。

防音ドアも入りました。


12月6日に家の引渡しがありましたが、ホームシアターのみは施工が続いています。

壁紙が貼られ、発光する視聴覚障害者用インターフォン(写真右上の丸いもの)が取り付けられようとしています。
引渡しされると鍵の管理は当然ながら東急ホームから私たちに移ります。
しかしシアター工事は平日昼間も続きます。
そこで合鍵を白須さんにお渡しして、工事を続けてもらいました。
家族の不在時に自由に家の中に出入りしてもらうのですから、ここら辺は信用関係ですね。


12月13日時点。
サラウンドスピーカの筐体です。

天井のプロジェクター天吊り部分はこんな感じ。

正面からの写真です。

内装は床を残すのみですね。


12月16日。
とうとうプロジェクターとスクリーンがやって来ました。

プロジェクターの初代はBarco Cine7LTです。

2009年2月下旬に故障でさよならするまでは、黒い彼がシアターに灯を入れてくれました。
ラック部分はこんな感じになりつつあります。

スクリーンは掛け軸方式。
このようにがっちり壁に取り付けられています。

12月18日には遮光カーテンが入りました。

カーテンはかなり良いお値段だったかと記憶しています(^_^;