days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Prince of Persia: The Sands of Time


平日のレイトショウは久々です。
プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』を観て来ました。
公開初日の金曜21時30分からの回、客の入りは30人程。
まぁまぁといったところでしょうか。


ご存知の方も多いと思いますが、原作はUBIのゲーム『プリンス・オブ・ペルシャ』です。
私は2年前に出たものをちょっと遊びましたが、岸壁疾走が上手く出来ずに序盤で放り出したきりです。
実は難易度がかなり低かったゲームだったらしいのですが、このシリーズは高難易度のものとして有名ですね。


父王殺害の汚名を着せられた貧民上がりの王子が、時間を数秒間戻せる時間の砂を巡る陰謀に巻き込まれるという活劇映画。
メインプロットが何とイラク戦争なのですから驚きです。
ペルシャはありもしない武器の情報によりとある都市に攻め込むものの、実は黒幕がその地下にある何かが目当てだった、というあらすじなのですから。
誤った情報により戦争に乗せられた自分たちだが、あんな戦争は過ちだったし、無かったことにしたい、というのがテーマになっています。
驚くのは、『トップガン』『ブラックホーク・ダウン』『ザ・ロック』『パールハーバー』といった映画のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーの作品だということ。
彼の映画はアメリカ軍を好意的に描くので、撮影も好意的に受け入れられているそうですが、それでも今の戦争には我慢ならなかった、ということなのでしょう。
共和党員であるクリント・イーストウッドが反イラク戦争のメッセージと受け取れる映画を連発していることからも、この戦争に対する右派・保守派が賛成一色ではないというのが分かってきて興味深いです。


監督はイギリスのマイク・ニューウェル
ハリウッドでも『フェイク』や『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』といった映画を撮っています。
起用されたのはメッセージ性とドラマ性を手際良く描け、ハリポタ映画でも大作特撮を経験済み、といったものでしょう。
本作はブラッカイマー作品ではあるものの、直接的にメッセージ性を打ち出した点で異色と言えます。
実際、メッセージ性の点では明確だし、ドラマ性は娯楽映画の範疇ではまぁまぁといったところ。
起用は外れではなかったようです。
しかし不満はパルクールを使ったアクション場面が多いにも関わらず、細切れ編集が多いところ。
もっと身体の動きを見せてもらいたかった。
第2班監督&撮影監督のアレクサンダー・ウィットは、監督作品『バイオハザードII アポカリプス』でも同じ傾向だった人。
想像ですが、ニューウェルは自分が余り経験の無いアクション場面をウィットに任せたので、この人の個性が出てしまったのではないでしょうか。
身体を張ったアクション場面が多いのだから、もっと爽快感のあるものにしてもらいたかったです。


主演はびっくりのジェイク・ギレンホール
余りにムキムキで違和感がありました。
もっと細身の筋肉の方が映画の内容に合っていたように思います。
しかし包容力とすっとぼけたところのある彼が映画に個性を与えていると思いました。
相手役は先日観たタイタンの戦い』のジェマ・アータートン
007/慰めの報酬』では真っ白だったのに、ここ2作は日焼けした役どころなのが面白い。
この2人のやり取りは、絶世の美男美女同士ではなかったので、温かみが感じられました。
王の弟役ベン・キングズレーと小悪党役アルフレッド・モリナは楽しそうでした。


後半には大掛かりな特撮場面が多く用意されていますが、精度は余り感心しませんでした。
時間もお金も無かったのでしょうか。
名手ジョン・シールの撮影は全体にフィルム・グレインがかなり出たもので、砂漠を舞台にした古典的活劇を意識したものだったのでしょう。


テンポも速いしユーモラスなギレンホールとアータートンの個性もあって、映画としてはまぁまぁ楽しめました。
気軽に楽しむには悪くありませんが、それ以上のものでもないです。