days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

堤智恵子ハッピーセッション@Swing City


2ヶ月振りの再訪です。
堤智恵子の演奏も喋りも立つのが気に入ったので、娘を実家に預け、金曜は定時退社して妻と行って来ました。
第1部は19時開演で20時15分過ぎに終了、第2部は21時開演で終了は22時過ぎでした。
妻も時折りリズムに身体を委ね、楽しんでくれたようで良かったです。


この晩のパーソネルは次の通り。
堤智恵子以外は前回とは全員替わっています。


曲目は2曲披露されたスティーヴィー・ワンダー、ジャズのスタンダード(私の大好きな『バードランドの子守唄』もあり)、ボサノバ、竹内まりや、それにアニソンの『宇宙戦艦ヤマト』までジャンルは多岐に渡り、非常に楽しいものでした。
堤智恵子のトークも相変わらず冴え、前回は運転免許を持っていないと言っていましたが、今は免許取得中、でも教習1回で早くも挫折しそうになるなど、自虐ネタも絶好調。
店内は笑いに包まれる温かいライヴでした。


こういう狭い店内での演奏の良さは、親密さが生まれることです。
奏者と聴衆の間は場所によっては数十センチ。
そこには場合によっては緊張感も生まれるのでしょうが、この晩に生まれたのは親密さ。
そう、マーティン・スコセッシローリング・ストーンズのライヴを収録した傑作ドキュメンタリ、『シャイン・ア・ライト』に生まれたあの空気と似通ったものです。
そんなことを思い出しながら、音楽と空気と時間を楽しむ事が出来ました。


堤智恵子のサックスは相変わらず明るくパワフル且つカラフル。
この人の演奏は聴いていて元気が出ますね。
二村希一のピアノはアタックはそんなに強くないのですが、伸びやかで軽妙洒脱。
聴いていて非常に楽しい演奏で、いっぺんで好きになりました。
木村将之は見た目が大学生くらいに見える(実際は25歳だそうです)のに、非常に落ち着いた演奏。
でもメロディが感じられるベースで好きです。
しかしこの夜の一番の驚きは、仙道さおりのパーカッションでした。


私はパーカッションやドラムスの演奏を、見るのも聴くのも大好き。
恐らく多くの人がそうでしょう。
物を叩いて音を出す行為は、幼い子供が最初に行う音楽的行為です。
叩いて音を出すのは、大人にとっても楽しい音楽的行為でもあります。
つまりパーカッション演奏とは、高度な演奏技術や音楽的知識が無くとも、楽しめる演奏なのです。
これは音楽の最も原始的なものとも言い換えられます。
原始的なものは根源的なものでもあるのだから、パーカッション演奏とは、音楽の根源的な楽しさに通じるものでもあるのです。


私はパーカッションやドラムスでは、メロディアスな演奏も好きですが、一方で正確無比なリズムも大好きです。
好きなドラマーで正確なリズムを叩き出す人はというと、GRPのハーヴィ・メイソン、ジェネシスのサポート・ドラマーのチェスター・トンプソン、元レヴェル42のフィル・グールドといった名前が浮かびます。
そして彼女の演奏は、どちらかと言うと正確無比なリズム系。
堤が彼女にソロを振っても、熱くなり過ぎず、手短にクールなビートを叩き込み返します。
他の3人がメロディアスな演奏だったので、仙道の正確なリズムが全体を纏め上げていました。
演奏中の彼女は真剣な面持ちで、池上季実子似のそれこそクールな美女。
その生真面目な表情同様に、まずは硬派な演奏に痺れてしまいました。
しかし真剣な表情の美女ほど怖いものはありません。
では演奏が怖い、遊びが無いのかというとさにあらず。
パーカッションのみならず笛も使い、多種多様な音を作り出し、色彩感豊かな音色を聴かせてくれます。
アンコール演奏では、彼女のパワフルで冷静なリズムと超絶的技巧に酔うのみならず、叩き出される音を聞くのは楽しいという気分が味わえました。
それこそが、仙道が音に真剣に向き合うと同時に、音と戯れている証しでもあると思います。


また、カホンというペルー発祥の木箱のようなパーカッションを広めたいと、教室も開いているようです。
中々の情熱家と見受けました。


店内では彼女のCDも販売されているというのと、パーカッション系のCDを聴きたいというのと同時に、最近の好調なAVシステムでパーカッション系をガンガン鳴らしたいというのもあって、どれか1枚買って帰ろうという気になりました。
対応して下さったのは仙道さおり自身。
間近で見る彼女は、小柄で痩身で愛想の良い人。
実は堤との掛け合いトークも笑える楽しいものだったのでした。
で、売っていたアルバム3枚の内、最もパーカッションが楽しめそうなものを選択して購入。
帰宅してからサイン入りと気付きました。
これが実は自宅で聴いてびっくりしたので、後日ご紹介したいと思います


こういった生演奏を聴くと、思わず自宅でのオーディオ・システムの再生音と比べてしまいますね。
キラキラする金属系パーカッションの高域や、胸骨に響くウッドベース
やはり私にとってオーディオの基本は生演奏を如何に忠実に再生するか、というのがテーマになるようです。


会場では仙道さおりの教則DVDが販売されていたらしいのですが、アマゾンでも取り扱っていました。
特に後者は評価も高いようです。

仙道さおり 直伝 極楽パーカッション~音あそびのススメ~ [DVD]

仙道さおり 直伝 極楽パーカッション~音あそびのススメ~ [DVD]

大人の楽器生活 カホン、ジャンベの嗜み [DVD]

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