days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Toy Story 3


有給を取っての小夏休み。
トイ・ストーリー3』を観て来ました。
朝10時半からの回は20人弱の入りです。


困ったことに、首都圏・横浜・川崎近郊では字幕版の上映が非常に少ない。
あっても一部劇場でしかも夜の回ばかり。
日中に字幕版を観るならば、ここ六本木ヒルズのTOHOシネマしかないのです。
私にとって『トイ・ストーリー』とは、トム・ハンクスでありティム・アレンの声。
唐沢寿明所ジョージの声など聞きたくありません。
前者は嫌いではありませんが、後者は関わった映画に対するコメントなど聞くと嫌いです(『シンプソンズ』とかね)。
今回もパンフレットによると「今回初めて真剣に」などと言っています。
ふざけるなと言いたいですね。
今までは何だったのか、と。
ですから映画を観ている間に嫌いな芸人の顔が思い浮かぶなど、全くもって御免被りたいもの。
既に『崖の上のポニョ』で嫌な思いをしていますし。
ともあれ、配給元ディズニーは字幕版を観たい観客のことをもっと考えてもらいたい。
それでわざわざ都心に出掛けての鑑賞となりました。


もう1つ文句を。
ここ六本木のTOHOシネマは観客の足元見過ぎな劇場でもあります。
レイトショウなどの入場料金や駐車場などの割引サーヴィスは無く、今回のように3D上映だと大人は1人2,100円もします。
全くもって…と思いつつも、ここしかないので仕方ありません。
上映設備は良いのが唯一の救いです。


と、いきなりネガティヴな話から入ってしまいましたが、さて映画はというとこれが傑作。
ひょっとしてピクサー長編アニメで1番の出来かも知れません。
オモチャたちの危機また危機のスリルと笑いの大冒険を描きつつも、オモチャと人の関わりをメインテーマに描く…と見せ掛け、実は人が成長して純粋さを失っていく悲しみと、その継承を描いています。
つまりは人間ドラマ。
奥が深い。
その分、内容がかなり大人向けにシフトしてしまったのではないか、とも思いました。
終盤はあちこちですすり泣きが聞こえて来ましたが、これも観客が大人ばかりだったからかも知れません。


まぁしかし、これは凄いですよ。
このシリーズを観ている観客向けの細かいギャグも含め、笑いも豊富。
話自体もとても面白いし、呆れる程に良く出来ている。
作り込みが凄いのに、全ては観客へのサーヴィスなのですから。
いささか作り込み過ぎな感もしますが、観ている間の映画への没入感は脚本や演出、アニメーション技術、声優たちの演技が素晴らしいです。
アニメーションの良さを思う存分に堪能出来ました。
シリーズ生みの親であるジョン・ラセターが初めて監督から退いただけに、鑑賞前は一抹の不安がありました。
単独監督作品は初のリー・アンクリッチは見事な演出を見せてくれたと思います。
内容盛りだくさんなのに、物語やテーマをきちんと物語っている技術を見るに付け、ピクサーという会社の層の厚さを感じますね。
ジブリピクサーの一番の大きな違いは、こういうところなんでしょうね。
ジブリの場合は宮崎駿が偉大過ぎた、というのもあるのでしょうけれども。


前作に続いてジョーン・キューザックの声も嬉しいけれども、個人的にツボだったのはマイケル・キートン
そのキャラの薄っぺらさに大笑い。
でも色々と予想外の行動を見せてくれ、楽しかったです。
ティモシー・ダルトンは声を当てているのを知っていたし、探すつもりだったのに、劇中では全く気付かなかった。
これは物語に集中出来たことの証しです。


3D演出は例によって作品世界への没入感を誘導するものであって、これ見よがしが少なかったです。
それでもショットによってはかなり面白い立体効果が楽しめました。
立体効果を楽しむのであれば、冒頭にくっついている短編作品『デイ&ナイト』の方でしょう。
「昼」と「夜」という、おばけのキャスパーのようなキャラが、黒地をバックに景色が透けて見えるという作品。
奥行感がかなりあり、これは3Dありきのアイディアを生かした佳作でした。


ランディ・ニューマンの歌も相変わらず良かった。
シリーズのベスト盤が出ているのですね。
映画を観終えてからの興奮冷めやらず。
聴きたくなってしまいました。

トイ・ストーリー・フェイバリッツ

トイ・ストーリー・フェイバリッツ