days of cinema, music and food

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How to Train Your Dragon


ささやかな夏休み。
ドリームワークス・アニメーションの新作『ヒックとドラゴン』3D吹替え版を観ました。
月曜朝8時40分からの回は30人くらいの入りでしたか。
半数以上が小学生くらいだったようです。


ヴァイキングとドラゴンが戦っている北欧のとある島が舞台です。
強くて雄雄しい首領の息子ヒックは、頭脳明晰でもヘナチョコ体型男子で、いつも失敗ばかり。
しかしある日、自分の発明した武器で謎の存在とされて恐れられていたドラゴンを撃ち落とします。
こっそりと誰にも知られずに行って見ると、ドラゴンは小さくて可愛らしい姿。
傷付いて飛べなくなったドラゴンとヒックの間に、やがて友情のようなものが芽生えてきます。


原作はまるで知らなかったのですが、日本でも6冊が刊行されている児童書だったのですね。
しかも本作は原作の前日談となっているとか。
各要素は定番とは言え、殆どオリジナルの物語を上手く構築しています。
話しもユーモラス且つ丁寧で面白いのですが、何と言っても映像が素晴らしい。
特にドラゴンに乗っての飛翔場面。
往年の宮崎駿にあったあの躍動感が、さらにダイナミックに受け継がれています。
結構たっぷり見せてくれますので、飛翔場面に関しては『アバター』よりも満足度が高いです。
3D映像の奥行き感がまたその高揚を強調しており、これは上手い使い方だと思いました。
また、ドラゴンの種類が楽しいだけではなく、マジメに考察した跡が見られるのもドラゴン好きとしては嬉しい。
クライマクスに登場するドラゴンが、『タイタンの戦い』のクラーケンに似ていたのは偶然でしょう。


吹替えもタレントではなくプロの声優を使っているので安心して聴けますが、やはりジェラルド・バトラーアメリカ・フェラーラらの声を聴きたかった。
しかし残念ながら、英語版は2Dでのみ、しかも都心の一部でのみ上映とあって、これはBlu-ray Discの発売を待つしかありません。
ええ、もう買うつもりですとも(^^


終幕の戦うよりも相手を理解した上で和平を望む主人公像は、最近のハリウッド映画で散見されます。
流行というのもあるのかも知れないけれども、やはりイラク戦争の影響が強いのでしょう。
戦争一色だった波に飲み込まれていた過去から、冷静に現実を見つめ直そうという意識がハリウッドの中でも出ているのでしょうが、元々ハリウッドは左寄り。
これは言論・表現の自由が彼らの大事な武器であり、商売道具であることからすると当然でしょうが、必ずしも多くの国民感情と一致している訳でもないことを理解すべきです。
ヴェトナム戦争でもイラク戦争でも、反戦意識が高まるのは「若者を戦場に送るな」という感情が根底にあり、必ずしもアメリカ自身の好戦的姿勢への反省でない場合が多いからです。


日本ではドリームワークスのCGアニメはブランドとして一般市場では認知されていないでしょうが、これは同社の最高傑作かも知れません。
うーん、『シュレック2』も面白かったけれども、私はこちらの方が好きです。
日本では余り興行的に奮っていないようですが、お勧めしたい佳作でした。


ところで主役格のドラゴン、吹替え・字幕共に日本版ではトゥース、つまり「歯」なのですが、英語名だと「Tootheless」つまり「歯無し」。
意味が正反対なのですけれども…