days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

The Karate Kid


1984年の大ヒット作のリメイク『ベスト・キッド』を鑑賞しました。
平日火曜の朝10時半からの回、シネコンは私も含めて12人の入りでした。
子連れ観客が目立っていました。


まず苦言を呈すると、字幕版で観たかった。
この映画、全国的に殆どが日本語吹き替え版上映なのです。
ファミリー層を狙っているのでしょうが、オリジナル音声の字幕版を観たい大人のことも考慮してもらいたかった。
先日のヒックとドラゴン』もそうですが、観たい映画が観たい形で観られないのは悲しいことです。
このまま字幕がないがしろにされ、吹き替え版上映ばかりが加速するのかどうか、注目して行きたいです。


さて『ベスト・キッド』ですが、私自身はオリジナル版世代にも関わらず、そちらは観ていません。
ラルフ・マッチオが『ロードショー』や『スクリーン』といった映画雑誌の表紙を飾っていたときが懐かしいし、サヴァイヴァーの歌う『モーメント・オブ・トゥルース』や、続編の『ベスト・キッド2』でのピーター・セテラが歌う『グローリー・オブ・ラヴ』などは好きでしたが。
それでも粗筋などは先の映画雑誌で読んで知っていたので、今回のリメイク版の比較的忠実と思われるプロットも、驚きはなくとも楽しめました。


主人公がラルフ・マッチオからジェイデン・スミスになって年齢が低下、白人からカラードになり、舞台も母親の転勤先である中国というところに、26年の歳月を感じます。
いじめられっ子の師匠となるのはパット・モリタからジャッキー・チェンになって、実は50代半ばで両者共に年齢が近いのですが、ぐっと若返ったように感じるのは不思議。
まぁそれよりも、そうか、ジャッキーも50代か…という感慨の方が先に立ちましたが。
師匠の変更により、Karate KidからKung Fu Kidになりましたが、題名の変更に反対したプロデューサーは、ジェイデンの親であるウィル・スミスだとか。
母であるジェイダ・ピンケット・スミスもプロデューサーとして名を連ねているのだから、ハリウッドの親バカはスケールが違います。


映画自体はとても良く出来ていて、面白い。
きちんと丁寧に作られていて誠実な映画です。
が、それでも2時間半近い上映時間は長過ぎでしょう。
こういった話は2時間以内にコンパクトにまとめてくれた方が、個人的にはしっくり来ます。


アクション場面もきちんと迫力がありました。
欲を言えばもっとジャッキーの立ち回りを観たかったのですが、それでも日用道具を使っているのがジャッキーらしい。
きちんと自分らしさをアクションでも出しているのはさすがです。
また、演技力がどうのではなく、孤独と傷を抱えた師匠を抑えて見せてくれて、良い味を出してくれていました。


ジェイデン・スミスはアイドルとしての資質に事欠きません。
生意気な風情を漂わせながらも、いじめには弱気を見せてしまうところも、素直に演じていたと思います。
しかも身体が動きます。
デヴュー作『幸せのちから』が可愛い素質だけを見せたホップならば、演技もきちんと出来るとばかりの『地球が静止する日』をステップとして経て、アクションも出来ることを証明した本作はジャンプです。
エンドクレジットに流れる主題歌にも参加するという徹底振りという、両親の戦略のしたたかさもさることながら、それに応えられるのもやはり資質なのでしょう。
彼だけではなく、敵役のいじめリーダー役の子供も顔が良かった。
アクション映画はクリント・イーストウッドアンジェリーナ・ジョリーの例をを持ち出すまでもなく、アクションをする人物の「顔」が大事なのです。
それが子供が主役の映画であっても。
その点でこの映画は、面構えもアクションしていました。