days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

El secreto de sus ojos


前々から観たかったスペイン×アルゼンチン映画瞳の奥の秘密』を観てきました。
都心での限定上映でしたが、近年はこうやって近所のシネコンに遅れてとは言え来てくれるのだからありがたい。
日曜の朝10時10分からの回は20人ほどの入りでした。


刑事裁判所を退官したベンハミンは、余った時間を利用して小説を書こうと思い立つ。
題材は25年前に自らが手掛けた、若い新妻が自宅にてレイプされ殺害されたという迷宮入り事件だ。
かつての職場を訪ね、上司だった今や検事となっているイレーネと再会し、小説への助言を請う。
25年前の苦い思い出蘇るが。


全体にミステリ・タッチのスリラーという雰囲気なのですが、これが終盤になると意外や意外の顔を現わします。
言わぬが花ですが、そこまでの登場人物のもどかしい心情も描かれているので、説得力がありました。
但し、これはアルゼンチンの当時の政情や、階層社会という前提があってこそ。
これが頭に入っているのとそうでないのとでは、意味不明だったり、行動に移さない主人公にイライラさせられるかも知れません。
まぁ、私も若干「何やってる!さっさとせんかいっ」と思いましたが(^^;


驚いたのは中盤の容疑者追撃場面。
空撮から始まって、大混雑のサッカー場観客席からの追跡をワンショットで撮ったように見せています。
パンフレットには3日間掛けて撮ったワンショット映像と受け取れる記載でしたが、あれはVFXでしょう。
でないと空撮からの始まりは不可能な筈。
VFXにしては高度な技術だし、実際のワンショットだとしたらそれも凄い技術。
迫力満点の場面でした。


主要人物数人の描き訳も味があり、ドラマとしても見ごたえあり。
ラストの事件の真相も、映画館内が明るくなってからも心に尾を引きます。
主人公役リカルド・ダリンと美しいソレダ・ビジャミル、犠牲者の夫役パブロ・ラゴ、容疑者役ハビエル・ゴディーノ、酔いどれ同僚役ギレルモ・フランセーヤら、皆素晴らしい。


ハリウッドでもリメイクが決定したそうですが、アメリカを舞台にしてはこういう内容にならないのでは?
それともアルゼンチンを舞台にした英語版にするのか?
こういった佳作を蹂躙する結果にならないと良いのですが。