days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

The Expendables


シルヴェスター・スタローン監督、脚本、主演作『エクスペンダブルズ』を観に行って来ました。
公開2日目の日曜(つまり実際には17日)21時35分からのレイトショウは、さすがに翌日が月曜日というのもあってか、10人くらいの入りでした。
シネコンの中でも1番の大劇場だというのに勿体無い。


グループを率いるスライ以下メンバーは、自らを「消耗品(Expendable)と自虐的に呼び、乗っている大型バイクの燃料タンクにも皆で仲良くExpendablesと書く愉快な仲間たち。
彼らはCIAからの依頼により、南米小国に君臨する独裁者を排除するべく偵察に出ますが、命からがら脱出する羽目になります。
しかし現地で案内人をして捕まった娘の事が忘れられず、漢スライは単身戻ろうとします。
そんなの見捨てるメンツじゃないぜ、エクスペンダブルズは。
お前が行くときは、俺たちも行くぜ。
かくして最強少数精鋭部隊は現地に乗り込むのでした。


とまぁ、今の時代にはちょっとアナクロなバリバリ男性派の活劇アクション。
冒頭から前作『ランボー 最後の戦場』(当時の感想はこちら)で炸裂させたスライの残酷趣味がほとばしり、人体真っ二つ、手首切断、生首しゅぽーんと、要所の血しぶき描写に事欠きません。
スライ率いる傭兵達は、ジェイソン・ステイサムリー・リンチェイ改めジェット・リードルフ・ラングレンUFC総合格闘家ランディ・クートゥアと、男気むんむん。
適役には狡猾且つ冷酷非常な元CIAにエリック・ロバーツ、プロレスラーのスティーヴ・オースティンと、人相が悪いのを揃えています。
実写版『北斗の拳』でケンシロウを演じたゲイリー・ダニエルズも敵役ですから、こうなると案内人役ジゼル・イティエや、ステイサムの恋人役カリスマ・カーペンターなど、殆ど記憶に残りません。


アクションアクション、またアクションという現代ハリウッド・アクション映画とは違い、言っている事は良く分からないけれど、そうか、忘れられないんだな、と妙に納得するミッキー・ロークの独白場面も含め、とにかく男臭い。
残酷趣味、男気描写、良いけれども軽快ではないテンポなど、これらがまた昨今の軽いCG多用アクション映画とは一味違う映画になった理由なのも確か。
大味なのも味とばかり、どかんばかんと爆発し、終幕はタイマンだぁと1対1の格闘場面をフィーチャーするのも1980年代調で、当時アクション映画に夢中だった世代からすると楽しささえあります。
サスペンスには乏しく、安心して見られるのも1980年代調。
余裕の演出を見せるスライは頼もしく、アクション場面も難なくこなしていますが、不満はジェット・リーのアクションを細かい編集で見せること。
ここは余り細かくショットをつながず、じっくり見せてもらいたかった。
やはりこういうところが現代ハリウッド映画か。


宣伝にあるようなCG抜き、特撮抜きの映画かと言うとそんな事は一切ありません。
派手な爆発場面にはCGによる合成やミニチュアも使われています。
エンドクレジットに目を凝らしてみましょう。
ミニチュア特撮がジーン・ウォーレン・Jr率いるファンタシーIIというのも、また1980年代のVFX映画の洗礼を受けた身には懐かしい。
彼らの代表作は『ターミネーター』でしょうか。
さらに第2班の撮影監督マシュー・F・レオネッティは、ウォルター・ヒルの快作『48時間』の撮影監督だし、同班マネジャーはレオネッティ・Jrでした。
『48時間』と言えば、エンドクレジットに流れる「Boys Are Back in Town」でしょう。
エンドクレジットを見る限り、本作にもエンドクレジットに流れたらしいのです。
おぉ、こういう繋がりの面白さを見つけるのもまた、映画ファンの特権ですね。
しかしながら、「らしい」と言うのは、日本版では流れた記憶が無いから。
どうやら長淵剛の歌に差し替えられているんですね。
「我慢ならねぇ」って言う長渕の歌に「そりゃこっちの台詞だよっ」と突っ込みを入れた方も多い筈。
やめて欲しいなぁ。


パンフレットが800円もする代物でしたが、これが過剰な男性ホルモン投与のようで笑えます。
ノリは映画雑誌『映画秘宝』そのもの。
男の墓場プロダクションも出ているしね。
値段が高いのが難ですが、面白いのでお勧めパンフレットです。