days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

"Pride & Prejudice" on Blu-ray Disc


プライドと偏見』をBDで鑑賞しました。
DVD抱合せ販売で定価2,500円。
熱帯雨林だと1,800円弱です。
BDもあっという間に各社が廉価路線を始めましたね。
ユーザーにとってはありがたいことですが、実際に売り上げはどうなんでしょうか。
最後の媒体とも言われているBDですから…


さて映画は5年近く前に劇場で鑑賞済み、レヴューも執筆済みです(当日の感想はこちらレヴューはこちらになります)。
再見すると…やはり良いです!
コリン・ファース主演のBBC版の傑作『高慢と偏見』の記憶も薄れ気味の今、新たな気持ちで映画に向かい会うことが出来ました。
数多い登場人物を個性豊かに描き分け、数々のエピソードを刈り込んで2時間強に収めた脚本家デボラ・モガーの力量もさることながら、軽快なテンポですらすらと心地良く流れる川のように演出したジョー・ライトの手腕も素晴らしい。


空間の広がりも含めた艶のある映像も見所。
今回驚いたのは、高度な撮影技術。
複雑なオペレーションもそうですが、繊細な自然の情景もすくい上げて見事。
ジョー・ライトはテレビドラマ出身とのことですが、この処女作で見事に「映画」にしています。
そう言えばアバック新宿でのプロジェクター見比べをした際、この映画のWOWOW録画のHDソースが使われていたことを思い出しました
その際は序盤の舞踏会場面が上映されていました。
動きや人肌を見るのに丁度良かったのですね。


主演のキーラ・ナイトレイは、今のところ彼女のベスト演技でしょう。
皮肉屋で辛らつ、自分の知性を信じながらも傷付くこともある女性を魅力的に演じています。
正に活き活きとしていて美しい。
ミスター・ダーシー役マシュー・マクファディンも良いですね。
コリン・ファースインパクトには負けるかも知れませんが、内容からすると年齢的に合っています。


それにしても18世紀イギリスの女性たちの受ける仕打ちときたら。
本当に生存権しかないような酷い時代だったのですね。
そんな時代の「婚活」も滑稽さと必死さが伝わって秀逸。
また、終盤でのとある人物(主役に非ず)が迎えた幸福の場面で、思わず感動したのは、私も娘を持つ父親という立場になったからか。
結婚が幸せの全てではないけれども、娘の幸せを祈る気持ちは万国共通なのだと、余りに当たり前ではある事ですが、実感したのでした。


BDとしての品質はまぁまぁでしょうか(コーデックはVC-1)。
いえいえ、悪いというのではありません。
フィルムグレインが乗った如何にもフィルム映像はすこぶる魅力的で、微妙なぼけも含めてうっとりします。
色彩も極めて自然。
この柔らかさが好きですね。
台詞は同時録音でしょう。
この臨場感が良いです。
効果音は細かい音が色々入っているものの、音響効果の派手さ、サラウンドの派手さで見せる映画ではありません。
流麗な音楽はノイズが乗っていますが、個人的にはこれも味と思ってしまいました。
個人的には鑑賞上は何ら問題ありませんでした。


特典はジェイン・オースティン関連やロケ関連、ジョー・ライトの音声解説等が入っていて、結構盛りだくさんのようです。
こちらも楽しみにしています。


ダリオ・マリアネッリの音楽も秀逸。
CDちょっと欲しくなりました。
ジャン=イヴ・ティボーデのピアノ演奏が美しいのです。

映画『プライドと偏見』オリジナル・サウンドトラック

映画『プライドと偏見』オリジナル・サウンドトラック