days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Red Dead Redemption


Xbox 360版『レッド・デッド・リデンプション』のシングル・キャンペーン・モードを約35時間でクリアしました。
エンドクレジット後もプレイ可ですが、ひと通り物語は終わりみたいなので、クリアしたと言って良いでしょう。
西部劇のアクション・ゲームを初めてプレイしましたが、非常に満足度の高い内容でした。


物語の主人公は元無法者のジョン・マーストン。
彼はどうやら過去の因縁により、昔の同胞を追い詰めているようです。
やがて明らかになる事情も興味深い。
マーストンの台詞は頓智と皮肉が効いた面白いものが多く、見て聞いて楽しい主人公です。


西部劇と言っても、1911年ですからライト兄弟の飛行機や自動車の時代。
拳銃もリボルバーだけではなく、既にオートマチックやガトリング機関銃があります。
サム・ペキンパーの『ワイルドバンチ』のように、時代に取り残された古い人種となった主人公を、古き善き西部の面影は余り残ってはいないらしい、マカロニ・ウェスタンのようなどこかモラルが崩壊した世界を舞台に置いて、物語は進められます。
一方で人情に厚い人たちも登場してほっとさせられるところもあり、このさじ加減が非常に上手いゲームでもあります。
特筆すべきは濃い脇役人物の数々。
1人1人が個性的でキャラが立っており、これがまた非常に面白い。
シナリオは相当に練られたゲームだと思いました。


私は基本的に善人プレイをしました。
息子がいる元無法者が、如何に息子に恥じない生き方をするか、というテーマを自分で想定したからです。
また、その方がこのゲームの内容に相応しいように思えました。
勿論、ゲームとしては悪人プレイも可能です。
この辺はプレイヤーの好みで行えば良いでしょう。
私の場合は無用な殺生は出来るだけ避け、人助けに精を出し…と遊んでいました。
但しここはワイルド・ウェスト。
決闘を申し込まれたら、受けて立たねば男がすたる。
この場合も、腕に自信があれば相手の銃を撃ち落して命を奪わないようにすることも可能です。
余り上手でない私は、結構撃ち殺してしまいましたが…(^^;
まぁそんな感じで「善き人」として遊んでマーストンに感情移入していたので、終盤の展開が衝撃的でした。
しかし意外ではありません。
なるべくしてなった、とも思いました。


このゲームはプレイ部分でも主人公に感情移入出来、それが物語とも融合して効果を上げています。
ゲームならではの語り口が上手くいっている稀有な例でしょう。
退屈な長台詞ムービーを延々見せられる『メタルギアソリッド』シリーズの、あの自己満足・自己陶酔的な素人演劇調の語り口とは雲泥の差。
あちらの台詞で何でも説明するやり方は、映像の力を信じていない証拠でもあります。
ゲームは映画やテレビとは違うのだから、メッセージを伝えるにしても、こうでなくては。
このゲームの作者たちは映像の力を信じていたようです。


開発は、丁度2年前にご紹介したグランド・セフト・オート4』のロックスター・ゲームズ
実はあちらはクリアしていません。
レースゲームが下手で苦手な私には、難易度が高かったから。
2つのミッションをクリアしないと物語が進めないというところで、2つ共にレースの腕が必要だった為に難しく、諦めてしまったのです。
しかし本作はそんな事はありませんでした。
ミッションによっては死んでリトライというのが何度かありましたが、「こりゃ無理だ…」というのはありませんでした。
大都会で車やバイクを猛スピードで飛ばすのと違い、こちらは荒野を馬で飛ばすもの。
スピードが車に比べて遅いのもあるのでしょうが、操作自体も改良されていたように思います。
また、銃撃などのアクションも随分と改善されていました。
少なくとも、『GTAIV』にあったまどろっこしいもっさり感や、クセのある操作感はありませんでした。
プレイの快適さ向上は、楽しさに直接的に繋がっていると思います。


馬の動きがリアルなのと、風景が素晴らしく美しいのとで、ただただ荒野を走らせているだけでも楽しい。
天候の変化、個性豊かな地域、それに突発的にランダムに発生する事件の数々(馬泥棒阻止、駅馬車強盗阻止、人さらい阻止、人質救出云々…)とあいまって、移動するだけでも非常に楽しいゲームとなっています。
道中、野生動物を撃って皮を剥ぎ、町の雑貨屋などに売っ払うことも可能。
薬草採集も良いでしょう。
小金稼ぎですら楽しい。
但し稼いだ金は後半では余り使い道も無くなってしまうのが残念ですが…
とまれ、楽しみは人それぞれで見つけられる、間口の広さも特徴的です。


銃撃アクションも面白いですが、本筋とは関係のないミッションも面白いものが多い。
少々の猟奇・怪奇趣味を盛り込み、このゲームにどこか薄気味悪い、独特な雰囲気を付け加えることに成功しました。
それが正統派の本筋に対してメリハリを利かせることになり、ゲームへの興味を持続させます。


ラストのミッションは淡々とした中でプレイヤーの方で緊張が盛り上がり、バッサリとエンドタイトルに入るのがカッコ良い。
ここで注意したいのは、実はこのミッションは本筋ではなく、飽くまでもプレイヤーの選択次第のサブ扱いだということ。
つまりこのミッションをプレイするかどうかは、主人公の生き方をどうするかは、プレイヤーの決断次第なのです。
自由度が高いゲームというのは、こういう事を言うのでしょう。


ゲームとしても非常に面白く、感情レヴェルでも掻き立てられる、満足度の高い大傑作。
本当に素晴らしいゲームでした。
未プレイの方は、是非是非。


オンラインマルチプレイも止め時が見つからない程に楽しいとのことですので、そちらも挑戦してみようかな。